かものはし日記 12月号


12月1日

以前
自然言語とか
人工言語とかのはなしを書きました

愛されたい、という感情は自然言語だけれど
愛したい、という言葉は人工言語なんじゃないかな、という話
人は誰かを好きになるときに
その人を愛したいとは思わず
その人に愛されたいと思うはず
そしてつきあっていくうちに
だんだんと
その人の気持ちを理解したい
愛したい、と思ってくる
だから
「愛したい」は
人が生きていく中で学習したりするような後天的に獲得した人工言語なのでは。
愛というのは
野生の言葉、もしくは
自然言語だと思っていたのだけれど
よーく考えてみたら
人工言語なのではないかと
建物と同じような人工物

人が
この星で
ほんとうに構築しなければならない人工物が「愛」なのかも
なんちゃって(照れ隠し)

12月2日

直感について考えてみる
世界は常に二項対立していて
たとえば
聖なるものと俗なるもの、とか
西洋的なものと東洋的なもの、とか
過激な対立と言えば
善と悪
光と影
などなど
つねに正反対の力が
人の心の中でせめぎ合っているけれど
たいていは
それなりのバランス地点で落ち着いていたりする
もしくは適度に融合していて
固形物として安定している
でも
ほんとうの世界は固形物ではなく
状況は常に変化するわけだから
その度に
変化に応じて常に新しいバランス地点を
いち早く、的確に探さなければいけないのだ
それを探す能力
それが
直感力なのかな、と思う。
対立しているものを安易に融合させて安定させずに
対立が起こすうねりの中で
一点を見つけだす
そのバランス点は一瞬しか有効ではないのだけれど
とても美しいビジョンを生み出すのだろうね
なんて
これ以前にかものはし日記で読んだことある、と妻に言われる。
いろいろ啓蒙しているのね、彼女は言うが
啓蒙なんてするつもりは更々ない
ただ自分に対して覚え書きをしているだけ
だって日記だもん

12月3日

ラ・デュッセルドルフとノイ
(70年代に活躍したドイツのプログレバンド、サイケ+テクノっぽいサウンド)
のコンピレーションCDを
近所のしけた中古CD屋で投げ売りしていたので
思わず救い出す。
名曲「チャチャ2000」のライブバージョンに大喜び
(昔このタイトルをパクって漫画を描きました)
新年はこの曲で迎えよう
と誓う
いい曲だよ、馬鹿明るくて

12月7日

素足にビルケンのサンダルで散歩をしたら
足の裏にまめができた
ドイツのサンダルなのに・・
足の裏にまめができたのは
中学時代の剣道部以来
あのころは足の裏はつぶれたまめだらけで
破けたまめの中に床のほこりがたくさんつまっていた

12月8日

プログレとかフリージャズとか
僕が好む音楽はすこぶる妻に評判が悪い
(チャチャ2000はぼろくそだ)

徐々に洗脳すれば良い
後藤のようにな
はっはっはっ

12月9日

映画バクダット・カフェで有名な
コーリング・ユー

ジェベッタ・スティールという女性が歌っているのだが
オリジナルはボブ・テルソンという男性が歌っているのだ
男性ボーカルのコーリング・ユーを
初めて聞いたが
何となくこの曲は男が歌う方が切実で良い
だって、テーマは「孤独」だもの
なぜだか男は孤独だ
孤独という状況に追い込まれているのか
それとも
孤独という状況を自分で誰にもさわられないよう守っているのか
どっちだかよくわからないけれど
孤独だ
ああ、男は孤独だ、と思いつつ
妻が大切に冷蔵庫にしまっておいた
なんとかという高そうなチョコレートを全部食べてしまう
ごめんね

12月15日

表紙を変えました
季節感のない絵(笑)
俳句は如月美樹さんです(from 俳句ニューデリー)

12月16日

テレ朝深夜のライアルワトソンのスーパーネイチャー
毎日楽しく観てます
ライアルワトソンも老けたなー

12月18日

六本木WAVEの閉店セールに行く
なぜだかとっても寂しく泣きそうになる
洋書を2冊買う

12月19日

スタジオボイスのジャズ特集を読んで
これだ!と思って買ったCDがはずれて落ち込む

12月20日

突然の腹痛で倒れる
38度の高熱
妻に温かくてよく眠れたと喜ばれる
どんな状況下でも人に尽くす俺って
魂が高いのかも(笑)

12月21日

一日寝て暮らすが
先週借りてきたXファイルのビデオをガッツで観る
(つまんなかった)

12月22日

パッチアダムスのビデオを観て泣く

はみだしデカ情熱系の特番を観ながら
妻に見つからないようにそっと涙を拭う(笑)
基本的にこの手のべたな人情ものに弱いのは下町生まれだからでしょうか?

12月24日

病み上がりの体にむち打って
クリスマスプレゼントを買いに街へ

アートオブノイズの新作がを買ったが
いまいち
いい音楽との出会いが少ないと
人生がつまらない

12月25日

人は
「思考」という基盤に立っている限り
根元的な問題はなにも解決できないような気がする
「思考」とはある意味「逃げ」だから
頭の中でごちゃごちゃ考えている間は
自分を見つめずに済むからね
というのも
ヒーラーをやっている方に
頭のチャクラが考えすぎでごちゃごちゃで
胸のチャクラが愛と憎悪で熱い
と言われたからさ

12月26日

ポールオースターの新刊「リバイアサン」がでていたので
大喜びで買う
ソフィ・カルの「本当の話」(平凡社)というタイトルの
写真と文章のコラボレーションのような小説とセットで読むと楽しいです
なぜならリバイアサンの中にソフィ・カルをモデルにした
登場人物がででくるのだ

12月27日

横浜の新設動物園
ズーラシアに行く
いきなり鎖につながれた象を観て落ち込み
(なにやら訓練のためらしいが)
寂しそうな目をしたオラウータンと目があって
動物園という人間がエゴのために作った娯楽施設の中で
自分が観客の側にいるという罪悪感で涙目になるが
(とはいってもここの動物園は動物に対する配慮が一番なされている
なぜなら
動物が観客の視線から逃れる場所がたくさん存在するのだ)
元気で人なつっこいユーラシアカワウソに出会って
救われる
彼らはとても愛らしい
ちゃんと目を合わせて
キューって挨拶してくれた
広い敷地にちょっとしか動物がいない動物園
岩や木陰に隠れている場合はそれすらも観られない
動物園という思想もずいぶん進歩したようだけれど
もっともっと改善の余地があるように思う
(たとえば神経質そうな動物の前でが大声で話さないとか、ね)

ここ数日家を空けることが多くて
メールのお返事が滞っております
申し訳ないです
今しばらくお待ち下さい

12月28日

結婚したとはいえ
実はまだ妻とは別々に住んでいて
お互いのうちを行き来している状態
今日は各々のうちで
大掃除しようということで
朝からひとりで大忙し
過去の数え切れない女性との思い出を
次から次へとポリ袋につっこみ
過去を清算する日というわけだ(うそ)
ついつい気合いがはいって
家具の配置も変えてみたりして
腰を痛めてしまった

12月29日

今年のかものはし日記は今日で最後です
今年もいろいろな方にお世話になりました
結婚おめでとうメールもたくさん頂きました
ありがとうございます
(まだ返事が書ききれなくてごめんなさい)
来年もきっといい年です
ではでは
良いお年を

そうだ
友人に指摘されたのだけれど
カピバラについて
僕はずーーーっと
カピパラだと思っていました
「パ」じゃなくて「バ」なのね
語感的にはカピパラの方がかわいいと思うのだが
世間がカピバラなんだからいたしかたあるまい
こーゆう思いこみは
僕にはたくさんあるのです


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