かものはし日記
2010年12月号


12月1日

毎朝
街路樹のプラタナスを眺めるのが楽しみです
樹の中心から枯れてくるので
周辺部のさわやかな緑色とのコントラストが絶妙
さらに朝日の透き通るような光が
プラタナスのもっさり感を軽減させ
黄色い炎のような雰囲気になります

12月2日

堺雅人主演の「南極料理人」を横目でちらちら観ながら
官能小説の挿絵を描く
南極大陸のドームふじ観測拠点で越冬する隊員8人の物語
役者で魅せるほのぼのとしたいい映画です
副交感神経系(リラックス系)の映画
日本はこういう映画があってます
交感神経系(ハリウッド型ドンぱち映画)は日本人には向いていません
(例:今公開中の国辱SF映画など)

同じく堺雅人主演で明日公開の
「武士の家計簿」も観たい

12月3日

早朝
NASAが地球外生命体に関する重大な発表をするというので
楽しみにしていたのだけれど
たいした発表ではなくてがっかり
(この程度のものなら日経サイエンスで特集を組めばよかろう)
僕としては
重大発表と聞いて
オバマ大統領がグレイ型宇宙人を連れて記者会見という「絵」しか思い浮かばなかったよ(笑)

来年の1月9日に
いつもお世話になっているお寺、新宿経王寺でバザーがあるそうで
そのチラシの作成を頼まれました
ちょっと萌えっぽく、太もも太めな大黒様というのはご住職の要望です(笑)

12月4日

言葉の呪力

香川の先制ゴールでドルトムントが快勝したそうです
(サッカーの話ね)
「決定力不足」という言葉の呪いを
彼が解いてくれるかもしれません
ひとたび呪いが解ければ
決定力のあるフォワードが日本からどんどん出てくるような気がします
日本は
言葉の呪力の強い国
政治、経済、スポーツなどなど
マスコミが
いい意味でも悪い意味でもなんでもかんでも言語化しちゃうので
言葉の呪いでがんじがらめ
身動きがとれなくなっちゃう
年末になると
流行語大賞とか今年の世相を表す漢字とか
あらゆるものを言語化しないと気がすまない国民性というか
言語能力が高すぎるというか
とりあえず
なんでも一言で言い切るのはよくないかもね

12月5日

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仲良し

自宅のトイレの窓から撮影
向かいのマンションの換気口のフードに二羽の鳩

12月6日

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mimikry/anbb alva noto

20代のころ、今は亡き大井武蔵野館で観た
ライブ映画「アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン 半分人間」は衝撃的でした
アグレッシブなメタルパーカッションとノイズ
そして
リーダーでボーカリストのブリクサ・バーゲントの雄叫び
あれから二十数年が経ち
ブリクサも太めなおっさんになりました
パンクが太っていいのか、という問題はありますが
今回
パルスノイズを使った先駆的な電子音響で有名なアルバ・ノトとのコラボレーションは
なかなか素敵
詩的で情感のあるノイズミュージックに仕上がっております

12月7日

友人の舞台を観に荻窪、だるまシアターへ
「娑婆に脱帽」
出演者が客より多い40人
もちろん客の入りが悪いのではなく
満席で40人ほどしか入らない小劇場なのです
舞台はいいですね
生々しいアナログ感
そしてアナログなのに今流行の3D
(当たり前(笑)
いつも主役を張っている友人が
ちょっとしか出ていないのは残念でしたが
とても楽しめました

12月8日

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都電荒川線の終点 三ノ輪橋駅近くのガード下の絵
かわいい絵です
ちゃんとスカイツリーも描いてあります
まだ未完成なのか
これで完成なのか
気になります
(これで完成でもいいような気がします)

12月9日

丸坊主のプラタナスは冬の季語か?

毎朝楽しみにしている街路樹のプラタナスの紅葉
今朝観たら
全部丸坊主になっていました
業者さんが
葉が落ちる前に枝だけ刈ってしまったようです
落ち葉の掃除をするのは大変ですから
仕方がないと言えば仕方がないのですが
なにかとても寒々しい
都会の冬って、心が寒くなるんだよ(笑)
今日も気温はそれほど低くないのに

12月10日

内田けんじ監督の「運命じゃない人」、「アフタースクール」を観ながら
SF小説の挿絵を描く
この映画たち、面白すぎて仕事向きのBGVにはなりにくいのですが
先週から何度も観返しているので大丈夫(笑)
見事な台詞回しと緻密な演出に
うなりながら絵を描いてます
日本映画は
アイドル映画や国辱的な大作えんたーてーめんと映画の影で
質のいい宝石のような小品がたくさんあるのです
侮れません

12月11日

eye in the blue

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月島に倉庫を改造した巨大なギャラリーがあって
そこで
等身大の鯨の写真展が開催中です
くわしくはここ
入場無料、写真撮影可

鯨の目のまわりの皺が素敵
賢者の目です

とりあえず携帯の待ち受け画面はこれ
そして着信音はシャチの鳴き声にしてみました

12月12日

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色がつきました

美術館やギャラリーより
こういうところの方が「アート」を感じます

12月13日

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子供手当てもないのに
野生ってすごい

この写真家のサイトはこちら

12月14日

ふたご座流星群

窓を開け
布団に包まってしばらく空を見上げていましたが
流星は一個も見えず
東京の空は夜でもくっきり雲がみえるほど
明るいのです
この明るさは
人類の恐怖に対する安易な反応のひとつ
希望とは人工の光に過ぎないのでは?
なんて思ったりして
夢とか希望とか幸せとかを求める気持ちの根底には未来へ恐怖があるのです
怖くていいじゃん
それに
恐怖は思考がつくるものですから
何も考えず怖い場所をじっと見つめていれば
怖くなくなるような気がします

12月15日

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ほぼ完成かな
ちょっと塗りこみすぎのような

色は難しいねえ
あたしゃ長い間絵描きをやっておりますが
未だにどう塗っていいものかよくわかりません

12月16日


10割蕎麦の立ち食い店をネットで探し出して
お昼ごろ自転車に乗って食べに行く、というのが
最近のささやかな趣味

もちろん、もりそばのみ
天ぷらそばとか
鴨何とかとかは
邪道です

帰路
上野駅から津軽三味線の音が聞こえてくるので
ちょっと寄ってみたら
青森フェアをやっていました
津軽三味線のライブをひとしきり聴いて
青森の特産品コーナーを覗いたら
「イカの塩辛ふりかけ」と言うのがあって
ちょっと心が揺れ揺れ(笑)

12月17日

久々に変な夢

「才能や努力に頼って
絵を描いてはいけない。」
と、夢の中で誰かに言われる

うーむ。
深い・・、だけどよくわからない

今夜は忘年会のはしご
がんばります

12月18日

久々の朝帰り
始発の山手線がこんなに混んでいるとは
思わなかった
みなさん、朝帰りですね
忘年会ご苦労様です

クリスマスプレゼントにTシャツをいただきました

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今夜はこれを着て宴へ・・

12月19日

久々に家に帰ってきました

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blood from stars /joe henry

秋葉原の駅前に小さい公園があって
そこは愛煙家たちの聖地なのです
黒いコートを着て直立してタバコをふかしている人たちの姿は
まるで煙突の林のよう
世間では肩身のせまい思いをしてますけど
考えてみれば
彼らは高額納税者
なぜか妙に神々しい(笑)

ブルースです

12月20日

大掃除壱日目

台所の換気扇周りとお風呂場

12月21日

大掃除弐日目

トイレと冷蔵庫、台所の床

12月22日

大掃除参日目

仕事部屋まわり、寝室の照明器具など
そうそう
ハードディスク内の整理も

靖国神社の近くで忘年会
「くどき上手」という日本酒が美味でした
ここからエロ話に突入〜(笑)

12月23日

引越しのお手伝い

予想どおりというか
予想が外れて欲しかったというべきか
現地に行ったら
ほとんど何も準備がなされていません(泣)
さらに、一戸建ての家の荷物は量もはんぱじゃありません
(こんなもの捨てろよコールの嵐)
普通、引越しのお手伝いというのは
梱包されたダンボールを
トラックに運び込んで
引越し先で荷を降ろす、まで
梱包までが含まれてしまうと
作業は順調に遅れて
家に帰り着いたのはO時頃
(家を出たのは、朝の9時半)
それでも
結構楽しかったのは
いつまでも学生ノリが抜けないからかな

12月24日

筋肉痛

体が痛くて動けません
仕事をしようにも
手が震えて絵がかけません

夜は鰻
他にお客さんが誰もいなかったので
鰻屋のご主人に
やっぱりクリスマスは鰻ですよね
と言ったら
うれしいこと言ってくれるねぇ、と肩をたたかれました(笑)

12月25日

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ちょっとわかりづらいですが
空の部分がクリーム色になって完成のようです
いい感じになりました

12月26日

今の時代は
作品ではなく製品を作らなければなりません

クリストファー・ノーラン監督のインセプションを観ました
とても作家性の強い監督です
作家性の強い監督は
独りよがりな、イメージ投げっぱなしの「作品」になりがちですが
この監督は
ちゃんとハリウッド的な「製品」に仕上げます
複雑でわかりづらい世界を
明快に説明し万人に納得させる力技は、ほぼ天才の領域
他人の夢に侵入するという古臭いファンタジーを
切れ味が鋭すぎる、スタイリッシュすぎる映像美が
ファンタジーに見せません

さすがです

12月27日

引越し

最近、僕の身の回りは引越しブーム

人は思考(言葉)を使って
現実を改変して生きています
誰一人現実を生きている人はいません
そういう意味では
インセプションの世界と似たようなものです
考えることをやめない限り
夢からは覚めません
夢から覚めて初めて現実が立ち上がり
過去とか未来と言う
古臭いガラクタを廃品回収にだして
引越しができるのです

ああ、引越しがしたい!
(ああ、何も考えたくない!(笑)

12月28日

コンビニの本棚をばっと眺めれば
世の中の欲望のありようがよくわかります
残念ながら
この欲望のどれかに乗っかっていないと
この世界では生きていけないのです
今は神社仏閣、パワースポットなどのスピリチュアル特集がメイン
来るべき2011年に備えて
霊的なパワーを取り込もうということですね
「違う自分になりたい」というのも
人間の欲望のひとつです
祈ると言う行為は
神様をツールとしてそれなりに複雑なやり方で
自分を崇拝する行為に他なりません
結局
自己中心的思考からは逃れられず
何も変わらない
ということ

うーむ、困った

12月29日

北野武監督の暴力映画「アウトレイジ」を見ました
暴力シーンを取っ払うというか
暴力を「欺瞞」に置き換えれば
現代社会そのままです
自分さえよければいいという社会は
要所要所でシステムのバランスを保つために
いけにえの羊を必要とします
だれだっていけにえの羊にはなりたくないから
結局みんなが自分本位になってしまうという悪循環
この手の話は
ハメットの古典的名作「ガラスの鍵」を筆頭に昔からあります
昔からあると言うことは
世の中はちっとも変わらないということです

うーむ、困った

12月30日

プリンタが不調で
年賀状が印刷できない

うーむ、困った

12月31日

年明けしめきりのゲラが来ないんですけど
どうしましょう

うーむ、困った

しかたがないので
昼から
微発泡日本酒「しゅわっと空」(鳥取県 千代むすび)を呑んでいます

今年もお世話になりました
よいお年を