かものはし日記 2007年


12月1日

後藤の個展に行ってきました
学生時代から後藤と合作を始めて15年
たくさんの仕事をさせていただきましたが
最後の5年は余計でした
合作として立ち行かなくなったにもかかわらず
お互い別々に仕事をする勇気がなかったのです
しかし
これではいけないと
意を決してコンビを解散して
もう8年目です
今年はお互い個展を開くことができて
とてもよかったと思います

後藤は後藤で独自のビジョンを構築し始め
その力強さに感動しました
(ビジョンというよりは生き様かな)

とてもうれしい

夜は、後藤の個展に来てくれた絵描きの友人たちと大宴会
素敵な一日をありがとうございました

12月2日

「十一面観音+にゃん」

今年の夏に個展をやったばかりなのに
来年のお正月に個展があります
すいません(笑)
会期は1月1日から7日まで
会場は新宿経王寺です

タイトルは「ジャズと仏教」

今回は絵の展示販売だけではなく
朗読と音楽のライブがあります
朗読は
北村薫原作の「語り女たち」等多くの小説の朗読ライブをされている
北原久仁香さんが宮沢賢治の詩に挑戦します
(バックでプロジェクターに僕の絵が映し出されます)
そして
音楽は
渋さ知らズ、高円寺百景等で活躍されているサックスプレーヤー
小森慶子さんと
アコーディオン奏者のアラン・パトンさんによるデュオライブです

構成としては
音楽と朗読がからむ部分と
単独の音楽ライブ
さらに、経王寺のご住職の声明と音楽がからむアヴァンギャルドな演奏も楽しめるようです
是非いらしてくださいませ

詳しい日程等はこちらをご覧ください

12月3日

星野ジャパン、ごくろうさまでした
監督が投手出身だけあって
抜群の制球力とかみそりのような球を投げる美しい投手たちの超豪華リレーにうっとり
特に川上憲伸の球筋には鳥肌が立ちました
攻撃陣も機動力中心のサッカー選手のようなチーム構成
台湾戦7回の三郎のスクイズ

「命がけ」を学びました

12月4日

画材を買いに北千住の東急ハンズへ
帰り道
下町グルメで有名で、よくテレビでも紹介されている
南千住の青木屋というパン屋で
どでかいコロッケパンを買う
240円
コロッケがかりかりにあがっていておいしいのです

12月5日

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蓮の肖像、という写真集をいただきました
鈴木薫さんという方が撮影された
とても美しい蓮の写真集

蓮は汚い泥の中から美しい花を咲かせるから好き
とは、よく聞く話ですけど
別にどろどろとした感情の中から花が生まれてくるわけじゃないでしょ
いろんな苦労をして
最後に美しく花を咲かせる
という比喩なんでしょうけど
ほんとの美しさは、なんの葛藤もないところから生まれてくるんだよ
・・くるんです
・・くるような気がします(気弱)

12月6日

デヴィッド・ギルモアのライブDVDをパソコンで観たころから
パソコンがフリーズするようになり
ついにメールボックスの受信トレイだけが飛んでしまった(泣)

先月末にメールをいただいた方
よろしければもう一度送信してくださると幸いです

12月7日

最近
なぜか友人から高級なコーヒーの粉をいただくことが多く
毎日かなりの量のコーヒーは飲むけれど
実はたいしてコーヒー通でもない僕でも
いただいたコーヒーがとてもおいしいことがわかってしまうのです
すると
普段飲んでいるたいしておいしくもないコーヒーが
さらにまずく感じてしまい
ちょっと困ってます

う〜、まずい

12月8日

神田のリスマティックで
原画のスキャニングをしてもらう
新年の個展の時行われるライブで
北原さんが宮沢賢治の原体剣舞連という詩の朗読をされるとき
そのバックで僕の絵本の絵がプロジェクターで映し出されます
昔の絵で恥ずかしいのですが
何点か墨絵風の絵を描き足します

是非ライブにもお越しくださいませ

しかし
神田駅周辺は道路が斜めに走っているので
実に道に迷いやすいところです
適当に歩いているととんでもないところに出てしまいます
リスマティックを探し当てるのにとても苦労しました

方向音痴ではないという自信を失わせる町です(笑)

12月9日

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music in the key of om /jack dejohnette

寂しさを紛らわすために生み出された作品と
寂しさを受け入れるために生み出された作品とでは大きく異なります
後者は、ある種の静謐さを備え
自分の中の問題をしっかり見つめさせてくれる
力を与えてくれます

ドラマーが生み出したドラムレス・ヒーリングミュージック
キーボートと共鳴ベルのみ使用
癒されるのではなく
積極的に自分を見つめるための音楽

12月10日

何事も言語化しないということは大事なことです

この人は友達と決めてしまったとたん
そこにはシステムとしての友達が発生し
友達なんだから
これこれするのは当然のような態度に出てしまいます
さらに
そうしてくれない友達に不満や不安を抱き
それは
お互いの関係性を少しずつ悪化させていきます

言語化しなければ
そこには
ただその人が好き
その人になにかしてあげたい
ということだけが存在し
見返りを期待することもなく
葛藤のない自由でゆったりとした関係性を育みつづけていけるはずです

12月11日

新年の個展が近づいてきて
だんだんてんぱって来ました
でも
このてんぱり感はなかなか気持ちがいいもので
追い込まれていく焦りと同時に
追い込まれていく快感というのもありますね
人生における苦しみが
苦しみぬくことで
逆に楽しくなるぐらいにならないとだめだ、と
野口整体の創始者、野口晴哉先生はおっしゃっておりました
宇宙は
究極のマゾを求めているようです(笑)

12月12日

毎年恒例、今年の漢字は

「偽」

この世界がシステムに支配されている以上
出てきてあたりまえの漢字かもしれません

人はシステムの中ではうそつきです
それは
国家だろうと
会社だろうと
家族だろうと
システムを維持するためには
さしせまった問題に目をつむり
うそをつき続ける
システムは人類最後の敵だと
ある人が言っていました

変化をありのままに受け入れて
正直に対応していくことをしていかない限り
システムは
永遠に人間の敵です

それはシステムの問題ではなく
個人の問題なんですね

12月13日

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face a face /erik truffaz

クラフトワークやブライアン・イーノに影響を受け
マイルスの遺伝子を継承した
フランス人トランペッター、エリック・トラファズのライブアルバム2枚組
いわゆるクラブジャズ系サウンドですが
打ち込みではなく、人力ブレイクビーツなところがポイント高し
強力なリズムと
イスラムのスーフィー音楽をからめた
神秘主義的でダウナーな感じが
実に仕事向きです
もっとも
僕は、仕事の時以外で音楽を聴くことはないんですけど(笑)

そうそうACミランとレッズの準決勝
レッズは惜しかったですね
とても楽しめた試合でした
3位決定戦に期待です
しかし
カカのゆったりした動きからいきなりトップスピードにシフトチェンジする様に
うっとり
情報処理を脳だけではなく身体全体でやっているようなひと
まさに野生ですね

われわれは、こういう感覚を取り戻さなければならないと思います
人生のすべての苦悩を
脳みそだけで処理しないように
身体全体で受け入れる術を模索しなければいけません

12月14日

失敗は
人生の美しさの中のひとつです
絵を描くことも似たようなもので
失敗しないと
どう展開していいかわからなくなります
失敗をして初めて
道を踏み外し、新たな道の発見への示唆をえるのです
失敗をしないというのは
ただ
他人がとおってきた
他人と同じ人生を生きているだけです
それは、きれいには見えるけれど
美しくはないな〜

ということで
今日も失敗続き(泣)

12月15日

猟銃による殺人事件が多発しています
テレビでは銃を取り扱う人間の資格というものが論じられていますが
そもそも
銃を持ちたいと思う精神性じたい
銃を持つ適正がないような気がしますけど

今日は小春日和でした
お昼は公園のベンチで青木屋のどでかいコロッケパンとメンチカツパンを食べながら
ひなたぼっこ
幸せ・・

12月16日

ACミランとポカとのクラブチーム世界一決定戦

個人の力が組織力という宗教を凌駕する瞬間にうっとり
何事も最終的には
個人なのです
突破口を見つけられるのは
個人主義という排他的な観念ではなく
システムを超えた個人の愛のちからなのです

とても勉強になりました

(組織力重視志向の日本のサッカーも
やっぱり組織力だけではなく
個人の力を磨いていかないとだめかもね)

12月17日

そういえば、先日
荒川区の商店街で
クリスマスツリーと門松が一緒になっている置物を見つけました
さすが下町
いんちきくささ全開です(笑)
一神教と東洋的多神教を同時に祝えるハイブリットご神体
すばらしいです(笑)
こーゆうくだらないものを
受けねらいで人にプレゼントするのはよしましょうね
迷惑ですから

しかし、こういうのって昔からあったのかな

12月18日

宴会に行って
みんなと楽しく会話をしてきたのに
帰り道ひとりになって、おいおい泣きながら歩いて帰った経験ってあるでしょ
たくさんの人と話をしたのに
だれとも気持ちが通じなかったあの感覚
今は忘年会シーズン
街には歩きながらひとりでおいおい泣いている人が多そうです

その寂しさが憎悪ではなく
優しさに変わることを願っております

12月19日

後ろ手に手をしばられて
2週間
はげしく空気の悪い靖国通り沿いに放置され
そのあと
みんなの前で
たまった鼻くそをほじられるという辱めをうける夢を見て
それを絵にして発表したいけれど
やっぱり芸風が違うから
まずいな〜って思ってしまう自分
芸風とは不自由なものですな(笑)

12月20日

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beyond even (1992-2006) /robert fripp & brian eno

フリップ&イーノのアウトテイク集なのかな
曲の大半はイーノが主導権を握っているようです

音楽を知り尽くした職人、フリップ導師

そんなの関係ね〜的究極のアマチュア、イーノ翁
考えてみれば両極端なふたりですが
技術を捨てたいフリップと最初から技術に興味のないイーノというところで
待ち合わせ場所がアンビエントに落ち着いちゃうんでしょうね
もうちょっと違った場所で待ち合わせをして欲しいものです

12月21日

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comicopera / robert wyatt

ロック界の良心、ロバート・ワイアットの新譜です
(ジャケットがかわいい)
ソフトマシーンのデビューアルバムからかれこれ40年ちかいのに
ワイアットおじさんは元気です
ブライアン・イーノおじさんの力を借りて
素敵なアルバムに仕上がりました
(イーノはイーノトロンという怪しい楽器を使っている)
内省的な歌声と音作り、そして透明感

歌うイギリスの宮沢賢治と言ってもいいでしょう(笑)

関係ない話ですが
宮沢賢治は猫嫌いだそうです(犬も)
がっかりだよ(笑)

12月22日

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納豆チャーハンは
大粒納豆を使うとさらにおいしいということに気が付きました
納豆チャーハンを作る時
納豆は、粘りが出ないようにざるに入れて水で洗うのですが
小粒だといくら洗っても粘りが出てしまいますが
大粒だと粘りはかなりなくなります
お試しを
今日は、野沢菜をプラスして
納豆野沢菜チャーハンにしました

去年のチュートリアルはすばらしかったよ
言葉の選び方がいい
今年のM-1の本命は笑い飯なの?(yahooニュース)
うーむ、どこが面白いのかわからん
コンビの仲も悪そうだし・・

12月23日

M-1グランプリ
敗者復活から勝ち上がったサンドイッチマンが優勝という快挙
すばらしかったです
6畳一間に9年間コンビでくらしていたそうです
(僕と後藤も20代のころ4年ほど一緒に暮らしていました
もっとも6畳と4畳半でしたが)
来年いっぱい仕事が来るといいですね〜

お笑いというのは、ちゃんと進化していますね
常に新しい何かがでてくる
常に最先端
ぼくもがんばります
(いや、お笑いじゃなくて、絵だよ。念のため(笑)

12月24日

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chrome dreams ii /neil young

1977年に未発表に終わったアルバムの曲を再録音し、さらに新曲を加えての新譜
18分にもおよぶ長い曲、Ordinary Peopleが圧巻
永遠と続くアメリカの荒野
そこに暮らす素朴な人たち
ニール・ヤングのボーカルとギターはもちろんすばらしいし
クレージー・ホースのロック・アンサンブルにもうっとり

クリスマス・イブの夜
ひとりで聞きましょう

12月25日

そろそろ個展の搬入が近づいてまいりました
お正月の個展のために20枚ほどの絵を描き下ろしました
僕をいろいろ困らせた20枚の絵たちとも
もうすぐお別れです
ちょっと、さびしい

どんなことをしても
何をしても
どうやっても
全力を尽くしたつもりでも
最後に残るのは「さびしさ」ですね
このさびしさが透明になるまで、絵を描きつづけます

12月26日

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a retrospective / om

水はあらゆるものに潤いを与えて
手柄を誇らず また
人々のもっとも嫌う低い所にとどまり
それゆえ道(タオ)にそっくりだと言える
水は低い所へ流れてその心は深く
万物は水によって生命を得るのである 
水はよく澄んでよく他者を映し
あるいは他者をよく洗い清め
器しだいでどんな形にもなり
四季の時節をはずすことがない(老子)

世界の一番深いところを流れる音楽のひとつです

12月27日

搬入

経王寺の寺務所にある囲炉裏の横で
額装作業
ほんのりとした温かみが気持ちいい
囲炉裏でおもちを焼いたらおいしいでしょうね
いいな、囲炉裏
炭はネットで岩手から購入しているそうです

セッティングは
まだ、本堂の内装が終わってないようなので
後日
(大晦日かな)

本堂は寒いです
個展に来てくださる方は暖かくしておこしくださいませ

12月28日

いろいろ支払いなども済ませ
今年もなんとか絵描きとして生き抜けたようです
ほんと
皆さんのおかげであります
感謝!

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grazing dreams / collin walcott

いわゆるヒーリング系にカテゴライズされていますが
このアルバムが他のヒーリング系と一線を画するのは
ストレスを受けて傷ついた心を癒すためではなく
ストレスに対応していくための音楽だからです
不安を受け入れていく音楽

コリン・ウオルコットの雨のようなシタールとタブラ
ドン・チェリーの叫ぶようなトランペット
ジョン・アバークロンビーのたゆたうギター

透明な諦念とささやかな歓喜

12月29日

今日は、ライブのリハーサル
リハーサルというのを観るのはなかなか楽しいものです
だんだんと作り上げられていくプロセスが楽しい

絵のセッティングは、ちょっと問題発生
ライティングがうまくいきません
困ったな

12月30日

街がすごい静か
昼寝をしていたら
静か過ぎて目がさめました(笑)

12月31日

ようやくセッティングが終わりました
ライティングに若干問題は残りますが
ま、しょうがないでしょう

ちょっと、観にくいかも知れませんがご了承くださいませ
いよいよ明日から個展です

よろしければ是非いらしてください
では
よいお年を