かものはし日記2006年10月号


10月1日

雨の音が好きです
今日の雨は特にいい
風がなく、雨がまっすぐ落ちてくる

街の形がはっきりと
雨の音で浮かび上がってきて
音で街が見えるような
そんな雨です

 

そんな雨とほとんど変わらない音楽

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the education of lars jerry /mats gustafsson

リード奏者 マツ・グスタフソンのソロ演奏
彼のソロ作品は大好きで
4枚ほど出てますが、これが一番好き

音楽だけが
世界を分析も評価もせず
ただあるべき姿を映し出してきたように思います
(残念ながらすべての音楽がそうではないけど)
世界を音で観れば
自分が次にどんな音をだせばいいかが
自ずとわかるはず
「観世音」という言葉は
本来そういう意味なのでは、と思います
(神様の話ではなく、世界の見方としての観世音菩薩)

それが
フリージャズを聴き続けて僕が学んだことです

10月2日

ああ、しまったあああ
昨夜、ものすごく楽しみにしていたNHKの自然ドキュメンタリー番組プラネット・アースを見損ねてしまった
裏で、つい透明人間になって
おねーさんのおっぱいをさわる映画を見続けていて
気が付かなかった(泣)061002.GIF - 43BYTES
(おっぱいより雪ヒョウのほうが大事なのに(ちょっとうそ)

明日の深夜に再放送があります
今度見損ねたら死ぬ

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雪ヒョウのママと子供の写真
どっちがママ?
しっぽのふわふわがすごい

10月3日

ようやく観られたプラネット・アース

雪ヒョウを堪能しました
思っていたより顔がでかい、まるい(笑)
雪ヒョウ親子
子供とお母さんは写真の通りほとんど同じ大きさなのに
子供は狩りに参加せず
母の帰りを待っている
お前も手伝えよ
と、つっこんでました(笑)

10月4日

子供の頃
母親に
クラスメートの○○くんに、勉強で負けてくやしくないの?
と聞かれ
くやしくない、と返事をしたら
なんて覇気のない子かしらと泣かれた覚えがあります(笑)
負けず嫌いな母親の教育のおかげで
人並みに覇気のある子に育ちましたが
今となっては、この覇気が結構邪魔
くやしいなんて言う概念がまったくなかった
ぴかぴかした子供時代に戻りたい
と切に思います

今日母親と電話で話していたら
よくも俺を負けず嫌いに育てやがったな
という憎悪がふっと湧いてきました(笑)
母の教育は正しいです
でも正しいだけで面白くも何ともないじゃん、ふん

10月5日

今日も雨
実は秋雨の方が梅雨より雨量が多いらしい

宇宙に基本原則があるとしたら
それは無常

世界は常に変化している

その変化の象徴は「水」です
水自身も水蒸気や氷に変化するし
この世界に水に溶けない物質はないそうです
金も白金もいつかは水によって溶けていく
人の気持ちも水で溶けていく(かもしれない)

ああ、空から無常が降ってくる(笑)

10月6日

砂浜に
人(おもに豊かな感性を持った子供)によって作られた砂のお城で生まれ
潮が戻ってきて、波でお城が粉砕されるまでの命という
つかの間の時間を生きる妖精のお話の挿絵を描いています

なかなか素敵なファンタジー

 

「大野隆司とゆかいな仲間たち展」
本日終了
いらしてくださった方々ありがとうございます

豪雨、暴風の中の搬出でした(泣)
搬出ってちょっと寂しいね

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黒い鳥の話

10月7日

先日
ここで紹介しているCDって、レンタル屋さんにないんですよね〜
と友人に言われました
特殊なCD屋さんにしか置いてないものが多いかも知れない
でもほとんどはアマゾンで購入可能です

これは必ずレンタル屋にあるCD

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cure jazz / UA + naruyoshi kikuchi

UAにしては、オシャレすぎるような
絡んでこないジャズ
ライブになれば、もうちょっと絡んでくるかも
ちょっともったいない

でも
ジャケ絵はとてもいいな〜

10月8日

500万羽の白雁の空撮
野火で真っ赤になったモンゴルの大地を疾走するモウコガゼルの群れ
夜間30匹のライオンに襲われる象の赤外線撮影など

今回も
貴重な映像をたくさん観ることができて、うっとりなプラネットアース

狩りのシーンをきっちり見せるところに
好感が持てます
これが事実
残酷とかかわいそうという人間のフィルター(感情)を挟まずに
じっと観ることが大切だと思います
(ドラマチックなBGMがちょっと邪魔)

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チベットスナギツネ
(目と鼻の離れ具合がかわいい)

10月9日

北の独裁者の恐怖心は
ぼくらのそれとは基本的に変わらない
恐れているもの
憎悪しているもの

ただ
核兵器をもっているか、いないか、だけの話
僕らとはスケールが違うだけ

彼の愚行は
僕自身、僕の身の回りで起きていることとほとんど変わらない
他者を勝手な尺度で評価判断し
気に入らない者は排除する

彼を非難するのは簡単だけど
彼と同じものが自分の中にあるんだということを
ひとつの象徴として受け入れる必要があるのでは、と思いました
敵というのは、具体的に存在する訳じゃなく
自分で作り出すものだもんね

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風とコスモス

10月10日

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先日西村豊さんが出演されている番組をなにげなく観ていたら
このヤマネの写真(とても有名)について語っておられました
「なんて美しい目をしているんだろう」と魅せられて
シャッターを切ったそうですが
そういう西村さんの目も十分素敵でした

美しいものに出会ってしまったら
後戻りはできないのです

そうそう水口博也さんのクジラの目の写真も素敵です
「地球の目」っていう感じ

10月11日

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waterfall

10月12日

苦労が身に付いていない
というのは、ほめ言葉か?
「あの人、苦労が身に付いていないよね」
という台詞には、あまりポジティブな感情を感じない
(多分、あいつは自分の過去をちゃんと検証してきていない、と言うことだと思うが)
だからといって
苦労が身に付いて見えるのはいやでしょ

どんな目にあっても
はつらつとしている

そゆのがいいね〜

しかし、今日は暑い
昨日も暑い
10月も半ばなのになんでだ

がんばれ新庄!
愛しているよ

10月13日

先日
僕にしきりと為替相場をやりませんかと勧める担当編集者さんから
カナダ旅行のおみやげにと
メイプルシロップを頂きました
(ちなみに、カナダ旅行は
為替相場で儲けたお金で行ったそうです
すごいねえ)

コーヒーの中に少しメイプルシロップを入れると
ほのかな甘みがまろやかさを引き立て
なかなかおいしいです
朝の楽しみが増えました

10月14日

お世話になっている編集のKさん
20年くらい前からお世話になっているデザイナーのMさん
初めてお会いする編集ライターのSさん
と神楽坂で宴
みなさん東京の下町出身の動物好き
(虎を飼いたいとか、かわうそを飼いたいとか)
盛り上がりました
ちょっと飲み過ぎたかな(笑)

10月15日

急に寒くなってきたようです
季節はいきなり変わりますね

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いま谷中の街は、谷中の街をアートしようという「アートリンク上野 谷中2006」が
開催中です
あちこちで展覧会やライブ、ワークショップが催されていて
その中の「谷中の夜の街をスケッチしよう」というイベントに参加してきました
まず鷹匠という蕎麦屋でおいしい手打ち蕎麦を食べる
(そば湯も絶品)
基本的にはこれに釣られて参加したのです(笑)
そして
スケッチブックと鉛筆を頂いて
いざ谷中の夜の街へ
お墓ばかりの谷中の夜は独特の静寂がありますね
道行く人の奇異な目にさらされ
寒さに震えながら
一生懸命鉛筆を走らせ
(なぜ参加費を払ってまで絵を描かないといけないのか、まったくわかりませんが(笑)
蕎麦屋に戻って額装して
ビールを飲みながらの講評
同じ街を描いていても視点は人それぞれ

とても楽しかったです

たまにはスケッチもいいですね
世界をちゃんと観るというのは大切です
でもほんとはビールを飲みながら描きたかったな〜

10月16日

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「Y路地の月」

昨日の谷中の夜の街のスケッチです
(猫は家に帰って描き足しました)
谷中はY路地が多くて楽しいです
街って区画整理するとつまんないんだよね
手前の月に見立てた円はマンホールのふたです
念のため

10月17日

ちと、風邪をひいたかな

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something about water

言葉は使い方によっては兵器です
お前はXXだ!
と言われ、それを潜在意識が受け入れてしまえば
本当にXXになってしまう

相手の言ったことを自分のこととして受け入れない
なぜなら、それはそういうことを言った側の心の問題だから
言われた側に責任はありません

大人というのは経験を重ねれば重ねるほど
内的な恐怖心が増し
その葛藤を弱い者にぶつけます

すべてはわれわれ大人の問題

 

自殺はしちゃだめとは言えないけれど
自殺という行為は、運命を変える行為
その人には運命を変える力があるのです
その力を別な方法で生きる力に変えてほしい

10月18日

先日のお話

いろんな状況においてね
「貧乏」というのはぜんぜんいいけどさ
「貧乏くさい」のはいやでしょ

と、僕

あたしは両方いや

と、母

いやそういう話じゃなくてさ(泣)

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「終わらせ方」

とある女性即興音楽家に
即興音楽って終わる瞬間はメンバーみんな同時にわかるものなの?
という質問をしたら
わかるわよ、ほら、セックスと同じ
という返事が返ってきました
デュオならいざ知らず
トリオ、カルテットの場合は複数プレイ(笑)
それでもわかっちゃうんだね、と頭の中でいろんな妄想が広がりました
終わらせ方は大事です
絵の場合は
その絵に執着がなくなった瞬間が終わりかな

なんにせよ終わり方は大切です
次の始まりにも繋がるわけだから

10月19日

北原久仁香さんの朗読公演を観に市ヶ谷へ
北村薫原作「語り女たち」の朗読シリーズの最終公演です
今回は、ステージも広くなって
RYOJUNさんのピアノを中心に
朗読、ダンス、演劇で
語り女たちのイメージを多層的に表現していきます
本の中に閉じこめられていた言霊が
朗読によって、空中に飛び出し
ダンスとして実体化し
演劇によって広がっていくというプロセスがとても面白かったです
(勝手な解釈)

10月20日

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ことしも楽ちん展がやってまいりました
版画家の大野隆司さんを中心とした大人数グループ展
第3回から参加してもう6回目
「6歩展」
テーマは「はじける」

今回はちょっと大きめの絵を描きました
マンダラっぽい絵

初日と最終日はおおむね会場にいますので
よろしければ是非いらしてください

日時
11月3日  12時〜18時 

16時〜18時 交流パーティ

11月4日 11時〜18時

朗読・アコーディオンライブ さわきょうこ、岩城理江子
open 18:45 start 19:15
charge 1000円 要予約
raku_rie@yahoo.co.jp

11月5日 11時〜17時30分

場所

東京都新宿区矢来町158
tel 03-3266-0461
地下鉄東西線神楽坂駅より徒歩2分
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10月21日

いつからか生きることに結果を求められることが多くなり
プロセスはないがしろにされてきました
人生のほとんどはプロセスなんだから
プロセスの方が大事なんです

どっちが勝ってもいい

日本シリーズ前の日ハム新庄の発言
どれだけ楽しめるかが大切
それが野球に対する愛なんだもん
結果を求めるところに愛はない

しかしこんな発言をする選手は初めてです
うっとりだよ

10月22日

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amassed

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masses

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live

spring heel jackというバンドを三枚
エレクトロニカ+フリージャズ
とはいえ、安易なビートに載せてフリージャズ界の巨匠達(evan parker han bennink matthew shipp)が
適当に演奏してフリーっぽく仕立てているのではなく
本当にそれぞれが自由に演奏して
それがきっちりまとまっているという
驚異のアルバム
とくに30分の長い曲が2曲しか入っていないライブ版が素敵です
自由とは
勝手気ままに自我を放出するものでは決してなく
自我を放棄して
知覚と行動が同時に起きる現象なのですね

10月23日

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evan parker / time lapse

多重録音によるソロ・アルバム
音のつぶが螺旋を描いて上昇していくような循環ブレス
(息継ぎしないで、息を吸いながら吐く特殊な奏法)
天使の口笛
フリーインプロヴァイザーの巨匠、サックス奏者エヴァン・パーカーの
62才の最新アルバム
傑作!

安易にコラボらない
媚びない
寄りかからず、きっちりひとりで立って
そして限りなく優しくなる

そういう音楽です

10月24日

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驟雨

10月25日

選択肢は無限にあるけれど
結局
答えはひとつ、だけのような気がします
何の恐怖もなく
先入観もなく
ただ対象を愛した結果
自然に出た行動のみが正解
それが、自由(即興)というものなのだと思います

10月26日

新庄が最終打席に泣きながら入ったあたりから
目頭が熱くなり
フルスイングで三振したとき
ぽろぽろと涙が出てきて
仕事どころじゃなかった
(後日談で、泣きながらバッターボックスに立つ新庄に中日のキャッチャーの谷繁が、
新庄泣くな、まっすぐ投げさせるから、と言ったそうです)

恐怖心のない
葛藤の中で生きない
はつらつとした魂のみが世界を変える

そういうことです

10月27日

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空葬

10月28日

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円環
 

頂き物の銀杏を
フライパンで10粒ほどから煎りした後
ペンチで殻を割る
専用の銀杏割り器がないのでペンチを使うのだが
力加減がむずかしい
綺麗に割れたのは半分くらいかな
中から出てきた実は深くて透明な緑の涙滴型
宝石のようです
さらに
頂き物のモンゴルの塩を銀杏に付けて食す
独特の苦みが大人の秋の味

数時間後
体がぽかぽかしてきます
風邪のひき初めに効果があるようです
ものすごくパワーのある食べ物だから
食べ過ぎは危険です

10月29日

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derek bailey / to play (the blemish sessions)

去年のクリスマスに亡くなった即興音楽界の巨匠デレク・ベイリーのギターによる
デイヴィッド・シルヴィアン『ブレミッシュ』(2003年)のセッション集
シルヴィアン自らがプロデュース&MIXをしているせいか
彼の作品の中では抜群にポップです
でも
素人は手を出さないように(笑)
(これをipodにいれて聞いている人は多分いない)
一般的な音楽とはかけ離れていますが
その中には「今」があり
「ありのまま」があります
to play
ただ、プレイをすること
魂と心の間に摩擦を生じさせない

ただ絵を描く
もくもくと

もくもく

10月30日

久々に自転車で転びました
数十年ぶりかも
無灯火で金杉通りを逆送してきたじじいの自転車を避けきれず
ブレーキをかけたらロックしてしまい転倒
派手に転んだのに不思議と体のどこにも衝撃がなかったのでした
道路のど真ん中で
大の字になって
夜空を仰ぎ見るのは初めて
星が綺麗でした(それはうそ)

車に轢かれなくてよかった

くそじじい、と怒鳴らなかっただけでも
人間的に成長したように思います(笑)

10月31日

もう10月も終わりなんですね
早いな〜

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僕がジャケット絵を描いたCDができあがりました
なかなかかわいく仕上がってうれしいです

kaoruco exiel /安穏

プロデュースはパール兄弟のサエキけんぞうさん

もともと子供の頃
プログレバンド、イエスのロジャー・ディーンのジャケ絵や
メビウスが手がけたジミヘンのブードゥー・スープ
ピンクフロイド等多くのアルバムを手がけハイセンスなデザインで知られる謎のデザイン集団ヒプノシスに
魅せられて絵描きになったわけなので
これからも
CDのジャケ絵をたくさん描きたいと思っています

この原画は
11月3.4.5日の6歩展で展示します
よろしければ是非見に来てくださいね