かものはし日記2004年5月号


5月1日

「遭難」
この世に生まれてくるというのは
遭難に近いのかもしれません
僕らの魂は宇宙の大いなる流れの中で
気持ちよくたゆたっていたのに
何かの拍子でその流れからはずれてしまい
遭難してしまう
そうやって生まれてきたのだと思われます
(神様に祝福されて生まれてきたなんてとうてい思えない?)
だって
どの人の顔を見てもみんな遭難者のような顔をしてるもん(笑)
みんな遭難者なんだから
助け合わないとね
みんな遭難者なんだから
荷物は少なめに
いつかは救助(死)がきます
落ち着いて待ちましょう
まだ救助がこないのに
自力で助かろうとしてはいけません
それは自殺行為です

5月2日

ピンクフロイド・バレエ
ピンクフロイドの音楽にあわせてバレエを踊る
という妙なパフォーマンス(笑)
友人がNHK教育テレビで放映していることを教えてくれて
わくわくしながら観ていたのですが
うーむ、ちょっとつらいな
モダンダンス風のシンプルな服装なのはいいが
演出家の
単純にリズムに合わせただけの振り付けが安易で下品
ダンサーの方々の技術が高かったので
ちょっともったいない
優れた音楽には
そこに何かを付け加える必要がないのです
音楽は音楽だけで独立して存在できる
それでもやりたいのなら付け加えるのではなくて
合わせるより全然違うものをぶつけてみた方が
うまくいくような気がします
演出家の人はきっとフロイドファンなんでしょう
エコーズやら雲の影など初期の傑作を使うあたり
フロイドへの愛は感じました

5月3日

最近は部屋の中で
スリッパの代わりに健康サンダルを履いて過ごしているのですが
長時間はいていると
気持ちいいのを通り過ぎて結構痛いのね
体調が悪い日は特に痛い

5月4日

観念の肥大化
頭でばかり考えていると、人は自然からどんどん離れていくそうです
これは怖い話なんですが
これを怖いと思えないところが怖い

5月5日

日本刀って
至近距離から発射された45口径の弾丸をまっふたつに切れるんですね
そして刃こぼれもしない
日本刀ってみんな斬鉄剣なんだね(笑)
テレビで
固定した日本刀に向けて弾丸を撃つという実験をしてました
刀鍛冶の親父
弾丸をまっふたつにして一言
「ま、日本刀ってこんなもんですよ」
日本の技術の高さにうっとり
中島みゆきの歌が聞こえてくるようだね

5月6日

毎日机に向かっていてふと思う
人類が間違った方向に進んでいるのは
机を発明してしまったせいなのかも
机は知性の象徴だものね
机に向かえば向かうほど自然から遊離していくような
でも人は机からは離れられない
野性をかきたてるような
自然から遊離しない観念を想像できる
新しい机のデザインを望む(笑)

5月7日

福田官房長官辞任
記者を小馬鹿にしたような態度
穏やかな言葉遣いと冷たい微笑み
キャラが立っていたよね〜
なかなか魅力的なキャラだったのでちょっと残念

巨人のめちゃめちゃなチーム作りが功を奏して
視聴率がいいらしい
いくら点を入れても逆転されるかもしれない投手陣
何点取られても逆転できるかもしれない強力打線
それがファンをわくわくどきどきさせるらしい
かつての巨人ファンと言えば
先攻逃げ切り
ロケットスタートなど
いつも余裕で勝っていたい
決して負けたくないという
精神的に弱い部分がありましたが
最近は変わってきたのかな

5月8日

やはりバレーボールは観戦するにはしんどいスポーツ
気を抜く場所がないんだよね
しばらく緊張が続く(観なきゃいいのに(笑)

5月9日

初めて詩集の表紙を書きました
「ベビーピンクの機関銃」 成島亜樹詩集 ふらんす堂 1500円
シルバーの美しい装丁の本です
「あなたが死んだ日に」という詩が特に気に入っています
ご注文はここ

今日は執筆者の彼女と渋谷で詩集の完成を祝して打ち上げ

5月10日

俺の妻がいじめられてるぜ、とテレビを前に
穏やかにそしてみんなに投げかけるように発言する彼はなかなか素敵じゃないか

アロマテラピストの友人に
一日2回は風呂に入れと言われる
そうしないと中年臭が染みつくらしいのです
よけいなお世話です(笑)

5月11日

もう夏日〜
パソコンが暑さで挙動不審になってきたので
今年初めてエアコンを入れる
水冷キットを買ってきて
CPUのクーラーを空冷から水冷に改造しようかなと思ったら
わくわくしてしまったパソコンおたくな俺

5月12日

作家の曽野綾子さんのエッセイをコンビニで立ち読み
イラクへのボランティアについて書かれていて
「ボランティアは楽しくなったらやめる」というある牧師さんの発言が紹介されていました
自己満足ではいけないということでしょうか

5月13日

IBMのCM
IT関連のアメリカの企業に勤めるサラリーマンのシニカルなやりとりが好き
仲がいいんだか悪いんだか
お互い適度にプライドを傷つけ合いながらも
それなりに仲間意識もあったりして
一人で仕事をしている僕としては
ちょっとうらやましい

5月14日

すごいねー
日本の大きい女の子たち
柳本監督はいい目をしている
ジーコとは大違い(泣、笑)
目は生命力の中心だから
目を見ればその人の生命体としての勢いがわかる
サッカーも彼に監督をやってほしいよね
(両方ともボールを扱うんだから同じじゃん(笑))

5月15日

ロッテ・ダイエー戦
ロッテが21−0で負けてボビー・バレンタイン監督が
ファンの前で謝罪という異例の光景
熱狂的なロッテファンの担当編集者に今月会うのがつらい(笑)
おれもロッテファンになっちゃおうかな

5月16日

2010年は南アフリカでワールドカップ
アフリカなら行ってみたいよなー

拉致家族を返してもらう代わりに経済支援?
家族を返しますので後で身代金を振り込んでね、ということでしょうか
のどかだねえ
平和というものはこーゆう理不尽なやりとりの上にあるものだけど
戦争よりはずっとましだよな

5月17日

ひさびさにお昼は角蔓でお蕎麦
となりのお客さん
初めて来たのでしょうか
俺はそばを頼んだのにうどんが来たと文句を言っていたので
いえいえ、明らかに麺の太さはうどんですけど
ちゃんとお蕎麦ですよ、と説明してあげました(笑)

小沢さんは
年金未払いで党首にならずにすんで、ラッキー!とか思っているんでしょうね
なんとなくそんな気がします

5月18日

近所のビデオレンタル屋で
カサンドラ・ウイルソンのライブビデオを見つけたので借りてくる
ライブだけではなくマイルスデイビスの墓参りのシーンなんかもあります
モノクロの美しい映像
名曲ストレンジ・フルーツは彼女の闇のそこから放たれるような力強い声にぴったり
彼女の持ち歌の中ではベスト1でしょう
ちなみに
ストレンジフルーツとは
黒人差別が酷かった頃のアメリカで
朝になると昨晩リンチされて殺された黒人が木につるされていて
それがなにやら奇妙な果実にみえるという実話を歌にしたものです
人はどこまでも酷くなれるけれど
ジャズはどこまでも人を見捨てない
そういうとこがきっと好きなのかな、僕は

2億年前に流行ったJAZZ

5月19日

最近のプロ野球の試合のように
ただのホームランの打ち合いのような
なんとなく世の中が大味になってきている感じ
なんていうか
「詩」がないのだ
この世界に「行間」というものがなくなりつつある気がして少し寂しかったりします

acute moon

5月20日

テレビの料理番組で
スパゲッティをゆでるときになぜ塩を入れるかの説明がありました
麺に塩味をつけるためでしょ、と漠然と思っていたら
お湯の塩分の濃度を上げて
麺の中のうまみが外に逃げないようにするためのようです
浸透圧ですね
たいていの料理本には、作り方は書いてあるんだけど
なぜそうするかはあまり書いていないのです
原理がわかれば応用が利きます
読者の料理に対する想像力を広げる助けになります
料理って
ある意味化学だものね

5月21日


想像しない
考えない
分析しないところに
自分の求めているものがあるのだと思う

5月22日

真っ赤なネクタイが小泉さんの決意を物語っていますね
今日は長い一日になりそうです

大きな風の流れの一部を着る

5月23日

政治家は結果責任だから
罵倒されて当然なんだけど
小泉さんは政治家というこのしんどい仕事を
いつもどういう気持ちでやっているのでしょうね
彼が
お金や地位に固執しているようにはあまり思えないし
彼の政治家としてのモチベーションはどこにあるのか
なにか理想があってそれを確立するためにがんばっているのかと思いきや
けっこう他人に丸投げしたり
重要な懸案も他人事みたいな態度を取ったり
いきあたりばったりだったり
なにが楽しくてこの仕事をしているの?という感じ
友達は少なそうだし
家に帰っても妻が迎えてくれるわけでもなく
孤独でしょ
あんなに笑顔が寂しそうな政治家というのはめずらしい
よくわからない人です
(よくわからないから興味があるんだけど)
まあでも
僕は孤独を受け入れている人の寂しそうな笑顔が好きなのです
今後もがんばってほしいとは思います

月光球
(月の光を再現する電球)

5月24日

うーむ
昨日のバレーボール中国日本戦は惜しかった
面白すぎて疲れた

言霊をコントロールせず言霊に惑わされず
「黙々と・・」がキーワード
もくもくもくもくもくもく

5月25日

政治家をもうちょっとほめてもいいような気がします
我々の真の敵は政治家ではなく
官僚というシステムなわけだし
その最前線で戦っている政治家を応援しないと
彼らはグレちゃう
そういう危惧があります
この国を何とかしたいという初当選の議員が
当選を繰り返すうちにだんだんとグレて金満政治家へとシフトしていくのは
我々の責任なのでは?
ほめるとつけあがるからほめないというのは
ほめ方が悪いんでしょう
日本はほめるのが下手な国です
子供をほめるのはもちろんですが
大人だってほめられたい
(おれも(笑)
政治家だってふつうの人間ですから
ほめられれば勇気も出ますし
ほめた人たちを裏切らないでしょ
今回の訪朝は家族会にとってはだめだめでしたが
子供たちと再会できた家族は
他の方に気を遣ってか憮然としてますけど
そのこととは別に礼ぐらい言えよ、っていう感じ
(裏ではそっと言っているのかもね)
自分の中にある自分が知っているちょっといいところ(大切にしているところ)を誰かにほめてもらうと
それはそれはうれしいものです
ちゃんと見てくれているんだなって思うもの
ちゃんと「見る」ことが大事だよね
些細な素敵さを見逃さずにほめる
人間関係でもジャーナリズムでもそれが大事

5月26日

バレーボールとサッカーと野球が同時刻にやっていたので
チャンネルを切替ながらの観戦で疲れました
バレーのスピード感と緊迫感に慣れてしまうと
サッカーは結構だらだらやっているように見えるし
野球なんて静止しているよね(笑)
バレーボールはもうちょっとでした
残念
どんなことをするにしても
ある程度のクオリティに達っするまでは比較的簡単なんだけど
そのラインよりもう少し上というのが大変なんだよね
「もうちょっと」というのがものすごく難しい
そこは生命力の領域で
気合いの問題なのだ
愛の領域なのだ

5月27日

風はすべての女性の衣装

秋葉原界隈では在庫不足で超人気の
韓国製水冷キットReserater1を
必死に探し回って購入し
メインパソコンに装着
全長60センチ、直径15センチ、厚さ3センチの円筒形のアルミの固まりに
2.5リットルの水が循環してCPUを冷やす
ファンがついていないので無音というふれこみ
メタリックブルーの超巨大ラジエーターのお姿はめちゃめちゃかっこいいのだが
水の流れをチェックするインジケーターが水漏れを起こしたりして
ちょっと不安
(不良品)
無音なのだがポンプの振動が低周波で伝わってきて
ちょっと気持ちが悪い
(このあたりは防音シートを敷けばなんとかなるかな)
嬉々として組み込んだ割には
思ったほどの効果が出ずにちょっとがっかり
前より悪くなったような。
無音パソコンの道は険しい
(ほんとにパソコンの音が苦手なのだ)
はずしちゃおうかな(泣)


バカっぽくて、かっこいいでしょ

5月28日

防音・妨震シートを買ってきて
パソコンの筐体の内側に貼り付けたら、かなり静かになりました
なにも苦労して水冷にしなくてもよかったかも
水冷の冷却能力は空冷の約30倍と高性能らしく
CPU温度は30度前後で安定してますが
水冷化によってCPUファンがなくなったため、チップセット(ノースブリッジ)の温度上昇が気になります
さらに
いつか何かの拍子に水浸しになって壊れるときがくるかもしれないという恐怖もあります
CPUジャケットが水漏れするという初期不良もあったらしいし
どきどきですね
ま、そゆのが好きなんだよね、おれ(笑)

無重力の肌触り

5月29日

PCケースの一部をちょっと改造して
通気性をよくしたら
チップセットまわりのケース内の温度もさがり
水冷による静穏性も獲得し
改造の成果はまずまずと言ったところですが
今日みたいな夏日は
となりのビルのエアコンの室外機がごおんごおんと回っているので
ほとんど意味がありません(とほほ)

今回の水冷化は難易度が高くて楽しかったなー
うちのPCケースはものすごく小さいので水冷ユニットの取り付けがけっこー難しかったのですが
ふつうの大きさのケースなら簡単に装着できます
夏に向けて是非お試しください

感情の放熱板

詩人の成島亜樹さんに誘われて
詩の朗読会へ行く
(今回表紙を描かせて頂いた詩集のなかの一編が朗読されるらしい)
中野の路地裏にある「坊主バー」という怪しいところ(ほんとに怪しい)
仏教系のバーなんだって(笑)
バーテンは浄土真宗系の僧侶らしいのだが
多分そうなのかもしれない
メニューに煩カレーというのがあったので食べてみた
食べると煩悩が減るのかしら
朗読会は2階の5畳くらいの部屋に30人くらいが詰め込まれ
3人の年齢不詳のおじさんが代わる代わる
詩を朗読する
裸になって詩を絶叫したりしてね
わざとだみ声で朗読したり
成島さんの詩は3人の中では一番まともそうな人が朗読していました
彼らのいかれ具合が素敵で(愛があるのね)とても楽しかった
客も変だったし
詩は身振りも含めて朗読されると言葉の観念的な部分が薄れてきて妙に生々しくなる
日本もまだまだ捨てたものではないな
メディアの流行に乗らず
独自性を追求しようとする人がたくさんいるのはうれしい
その追求は結局は普遍に向かうことだからね

5月30日

昨日の煩カレーがあたったのか
おなかを壊してしまいました
なるほど
これで煩悩が浄化されたわけかな(笑)

煩悩が108しかないなんて信じられない

5月31日

「命は使うべき時に使う」
亡くなった戦場カメラマンの橋田さんの言葉はとても素敵だ
自分が何を愛していて何をすべきか、そしてどう行動すればいいかがわかっている人の言葉
そして妻の幸子さんのとても素敵な表情
悲しみと覚悟と優しさと信頼感
きっと素敵な夫婦だったのでしょうね

ハイテクとは言いつつも
稼働中のPCを冷やすのは空気か水というローテクにたよるしかない
人間もかっとなるより
落ち着いて頭を冷やす方が難しいのは同じです(笑)

千手観音の卵


back