かものはし日記
2002年8月号


8月1日

ひさびさに
下ろし金で指を擦ってしまう
けっこう血だらけ

今日は、絵本のいい絵コンテが描けた気がします
それで浮かれていて
血だらけになったのかも(笑)

中日の川上憲伸、やったね!
巨人をノーヒットノーラン
巨人の打撃陣をおさえられるのは
今のところ彼一人
他球団の投手陣は彼のガッツを見習うように
少しは面白くして!

8月2日

いつからか
夜空に雲を確認できるくらい
夜が明るくなり
まわりから闇が消えていった
闇は決して怖いものではなく
黒は、すべてを吸収してくれる
人の思いを
すべてを受け入れてくれる優しい色(厳密には色じゃない)だ
真っ暗な部屋にぽつんと一人でいるセラピーもあるらしい
たまには真っ暗を経験したい
まあ
都会では電気を消してトイレにはいるくらいかな

ものすごい雷雨
まわりはビルばかりなので
マンションのベランダから見ていると
あちこちのビルの避雷針に稲妻が落ちてきて
きれいだなあとうっとりしていたら
いきなり目の前のビルの避雷針に
稲妻が落ちてきて
ものすごくびっくり
初めて間近で見た稲妻
立体に見えました
ほら、稲妻って遠くの方で見えるから
平面のようなイメージがあるけれど
間近で見た稲妻は
ちゃんと立体感があったんだよ

8月3日

高田明美さん美苗さん姉妹の展覧会へ
そのあと宴会
ブッツトリックバーという
トリッキーな仏教系?の居酒屋で飲む
クリストンカフェはキリスト教系?
宗教系の居酒屋が流行なのかな
給仕のおねえさんの龍のTシャツがとてもほしかった
ここで働けばもらえるらしい

8月4日

今日も雷雨
でも放電は地面までは届かず
雲がぴかぴか光っていてとてもきれい
ベランダから見る光景は
まるでブレードランナーのオープニング

夕食は
先週作っておいしかったズッキーニのパスタ
今回はトマトソースベース
もう一つこってり感が足りないかな

8月5日

誰かに100の質問をされる夢を見る
ものすごく正直に答えている自分に驚いて目が覚める

友人のデザイナーと宴
彼は硬派なデザイナーなので
お話に「切れ」があって聞いていて楽しい
筋金入りののサッカーファン
(自分でもサッカーをしている)
次の日本代表話で盛り上がる
ジーコでいいのか?
(けっこーいいらしい)

8月6日

歯ごたえが好きなので、たまに食べるグミキャンディ
ちょっと食べ過ぎてお腹が痛くなってしまった(笑)
もういい歳なのに、おれって、ばか・・
自分の胃に謝る
うー気持ちが悪い

8月7日

「アメリ」を観る
素敵な大人のファンタジー
現実に苦しんでいる人には、少しのファンタジーを・・
ファンタジーに逃げている人には
現実と向き合う勇気を・・
バランスのとれた良い映画
さすがエイリアン4の監督ジャン・ジェネ
エピソードを上手に重ねて
有機的に
大人の童話の世界に引き込むのがうまい

良い作品は陰陽のバランスがとれている
二元論ではなく
陰陽。
対立しながらも相補的
聖なるものと下世話なもの
お互いが相補的であるからこそ
愛しい物語が生まれる
そして物語はどこにも向かわない
何もいわない
ただ存在する

8月8日

すべてはタイミング
世の中の出来事はいつも何もかも遅すぎる
対立しているものも必ず和解できるタイミングがあったはず
何かが
そのタイミングをつかむ感覚を鈍らせ
何もかもが手遅れな世界を作ってしまう
(この夏の暑さも、もう手遅れだ(笑))
感覚を鈍らせる何かとは
多分
自尊心。
自尊心というのはどこからやってきたのだろう
どうして頭の中に居座り続けているんだろう
自然界には存在しない言葉
人が作った言霊

8月9日

妻の友人の女の子達が遊びに来る
妻を含めて彼女たちは今日から夏休み
今の女の子たちは
ちゃんと客観的で、とてもしなやか
自分の立っている座標をちゃんと把握できている
さすが
おじさんは感心しました

8月10日

初めて作るレシピは
たいていは慣れていないせいか
いまいちの出来なのだが
次に作るときは段取りがわかっているので余裕も生まれ、前より上手に出来る
だんだん上手に出来るようになって
何回目かで頂点に達する
それ以降は下降線(笑)
だんだんそれを作るのに飽きてきて
どんどんいい加減になってまずくなってくる(泣)
今日作ったレシピは2回目
もちろん前よりおいしくできた

友人が遊びに来てくれたり
電話をくれたり
メールをくれたり
何かに誘ってくれたり
それは本当に「奇跡」に近いことなのだ
(妻がお茶を入れてくれたり(超奇跡))(笑)
そういう何気ない日常が奇跡であることをいつも感じていたいし
感謝もしたい

8月11日

妻が日記を読んだのか
寝る前にお茶を持ってきてくれた(奇跡)

今日は
妻に連れられて
公用語がほとんど英語のパーティに参加
海洋生物学者のようなオーストラリア人
ハリーポッターとケントデリカットを足して2で割ったようなイギリス人
むちむちした巨乳のブルガリア人
NHKに勤めているイギリス人
あとは日本人だけれど、みんな英語が堪能
言っていることの半分くらいはわかるけれど
あとはなんだかよくわからんかったが
とても楽しいひとときでした
(巨乳のブルガリアのお姉さんに絵をほめられてちょっとうれしい
ほとんど胸のない女の子の絵を見て、女の胸に興味がないのかといわれてしまう
そんなことはありません、大好きです。(笑)
みんなが英語を勉強しろと言うのだが
そう言われると絶対やりたくなくなる偏屈なおれ(笑)
パーティの主催者のお姉さんも素敵な人だったし
デザイナー夫婦の方々も素敵な人たち
旦那さんとはスターログと音楽の話が出来て
とても幸せでした

8月14日

今日はなんだかひどい日で
すっかりへこんでしまいました
(背景の色も変えちゃおう)
友人からのメールだけが、金星に吹くそよ風のよう
(ちょっと意味不明?)
夕食
餃子の餡にニンニクを入れ損なうわ
サンラータン(黒酢のスープ)にキクラゲを入れ損なうわ
へこんでいるので集中力なし
餃子にニンニクを入れないと
ずいぶん淡泊な食べ物になります
サンラータンにはキクラゲが入ってなくてもあんまり関係ないけどね
椎茸とタケノコと豆腐がメイン
余った餃子の皮を油で揚げて
サラダの上にトッピング
これはおいしくできた

8月15日

髭を剃るという行為を
たいてい週に一回くらいしかしないので
常に無精ひげ状態の私ですが
先日
とあるパーティでアゴ髭をたくわえた方がいて
とてもおしゃれだったのを思い出し
真似してみる
妻には、いかがわしいデザイナーに見えると
とても好評(笑)
しばらくこれでいこうっと
へこんでいるときは
いろんなことをしてみると楽しいね

8月17日

今日は比較的涼しい
こういう日はチャンスとばかり、クーラーを切って
体調を整えたい


いつも公園にいる路上生活者の女性(50歳くらい?)
一日中ほとんど動かず下を向いて座っているので
毎日気にはなっていたのですが
話しかける勇気など僕にはなくて
というのも
こういう仕事をしていると自分もいつかは
路上生活者になってしまうかもという可能性が頭に常によぎっているので
自分がそういう境遇になったときのためにも
彼らに親切にしてあげたいと思っているのです
(基本的に彼らのために親切にするのではなく
自分のためにということです
「情けは人のためならず」というのは
人に情けをかけると本人のために良くないという
間違った意味に解釈されているようですが
本当の意味は
誰かにかけた情けは
巡り巡って自分に返ってくる、という
親切の生態系(円環運動)を意味します。
人の為とかいて「偽」となります
何でも自分の為に親切にしておこう、ということです。)

彼女がコンビニの前でうろうろしていて
そこを通った僕に話しかけてきました
「このお金で、ジャイアントコーン(アイスクリーム)を買ってきてくれませんか?」
と言って100円を僕に手渡そうとしました
多分身なりのせいでコンビニには入れてもらえないために
僕にジャイアントコーンを買ってきて欲しいと言うことでしょう
彼女に話しかける勇気のなかった僕は
むこうから話しかけてきて、これはちょっと良かったなと思い
お金は受け取らず
アイスクリームを買いにコンビニに入りました
ジャイアントコーンがなかったので
なるべくそれより良さそうなアイスクリーム(ハーゲンダッツ)を買って
彼女に差し出したのですが
彼女はやっぱりジャイアントコーンが良かったのか
今ひとつうれしそうじゃありませんでした
というか不満そうでした
いちおうお礼を言って去っていきましたが
この期に及んで
アイスクリームの銘柄にこだわるのか、この女は
(女の人ってそうなんだよね、食い物にうるさいんだよ、うちの妻も)
とちょっとむっとしてしまいました(笑)
今時ジャイアントコーンなんて売ってねえよ(笑)
おれは路上生活者になっても
こういう態度はとらんぞ(笑)
まあでも
ハーゲンダッツのアイスクリーム
気に入ってくれるといいな
(食ってみりゃ、うまいって)

8月18日

今年のSF大会の実行委員だった友人が
僕が描いたプログラムブックの表紙の原画を持ってきてくれたので
ここにアップします
クリック

今日、雨の中公園で
例の路上生活者の女性がいつも座っているところを横切ると
どこかで雨宿りをしているのか
彼女はいなかったのだが
昨日僕が手渡したハーゲンダッツのアイスクリームの空き箱が
落ちていて
どうやら気に入ってくれたみたい
よかったよかった
でも
空き箱をゴミ箱に捨てるくらいのことはして欲しい,とは思う
それすら出来ないという気持ちもわかるけど
せつないね
人は体の中に生きようとする欲求というのがあって
それには理由がない
理由がなくても生きていけるはずなのだが
理由がないと生きていけないのだね、人間の場合は。
理由を失ってしまったこともせつないし
理由がなくても生き続けてしまうこともせつない
台風が来ているわりには
はっきりしない天気もせつない
せつない、せつないって言っているおれもせつない(笑)

8月19日

今日は虫の居所が悪いせいか
彼女が話しかけてきても
無視してしまった
今日は彼女を見るのがものすごく辛かった

僕は
善人にも
偽善者にもなりたくないわけで
ただ目先の感情に忠実でありたいと思うわけです
ただ
目先の感情が
滞っているのはいやで
とにかく流れていたい
変化していたい
ということ

8月20日

空気清浄機の前でわざとおならをすると
カチッと
フィルターのスイッチが入る(笑)
優秀優秀
最近の密かな楽しみ

あご髭はそり落とす
やはり髭って
長くなってくるとうっとおしいのだ

毎日wowowで放映されている
「エースをねらえ!2」に夢中(笑)
宗方仁が死んでそれ以後の話
87,8年頃にOVAで出ていたらしい
知らなかったよ
4話連続で毎日2時間
テレビの前に釘付けだ(笑)(今週の土曜まで)
出てくるやつはみんな金持ちで
いい車に乗って美男美女で才能豊かで
人格者
そして熱い魂、人を気遣う優しい心
うなる筋肉
出崎演出、しびれるぜ!
毎日目頭が熱い

8月22日

数日前からアニメのメカデザインの仕事をしております
キャラデザインにも近いのかな
微妙なところ
デビュー当時はメカデザイナーだったのに(笑)
なんかひさしぶりなので
どきどきしてます

少女漫画って
男にとっては耐えられない方向へ方向へとストーリーが向かっていく
(でも好きなんだけれど、エースをねらえ2)
これが男女の根本的な違いなのかもしれないけれど
やはり女性は精神的に強い
即効性が強い
ジャズ向き(笑)

8月24日

今週は
WOWOW放映の
エースをねらえ2、エースをねらえ FINAL STAGE
に心をうばわれておりました(笑)
毎日4話ずつの放映なので、身も心もぼろぼろ
ほとんど戦争映画のような世界でした
コーチの宗方仁がどういうコンセプトで
岡ひろみを育てようとしたかが
最後に明かされて、それにしびれてしまった
彼は、彼女に
ミスをしないテニスを教えようとはせず
それよりも
半歩前に出る「勇気」を教えようとしたのです
テニスのことは詳しくないので推測ですが
ボールが地面に跳ねてきて
ちょうど自分の腰のあたりまできたら
ラケットを出して打ち返すのではなく
もう半歩前へ出て
ボールの跳ね際を打つ
(ライジング・ショットっていうのかな)
半歩前へ出る勇気
大事だよね
一歩前だと出過ぎ
半歩前でいい

8月27日

ひょっとすると
今年中に東欧のハンガリーで個展をするかもしれません
首都のブタペストから東へ200キロ
フゼシュジャルマトにある日本博物館で。
館長の方からオファーをいただきました
来週打ち合わせをします

江刺の「原体剣舞連」の個展の方は
9月の15,16日あたりに
行こうと思ってます
遠いけど
是非いらしてくださいね
またお会いしましょう

8月28日

デビュー当初の人たちとまた仕事を始める
16,7年ぶりに
飲みに行って話をしたのだが
内容は、奥さんとセックスのことばかり(笑)
奥さんにマスターベーションをしているのを見られたとか・・
(おれじゃないよ)
昔は、映画とかSFの話を熱く語っていたのに
若い頃にくらべると
みんなカッコつけないので
話が生々しいし
妙に滑稽
みんな妻を女性を愛しているのね
いや、愛そうとしているのね(笑)
僕の座右の書
神話学者ジョセフ・キャンベルの本
「愛ある結婚は冒険である」
の内容をかいつまんで説明したら
是非読みたいという人がいたので
お貸ししましょうということになった

8月30日

打ち合わせ
おとといの彼に
ジョセフ・キャンベルの「愛ある結婚は冒険である」を
お貸しする

ここ数日は、妻の帰宅が遅いので
一人で夕食
一人のときは、そばをゆで
冷蔵庫にある適当な野菜を天ぷらにする
アスパラとかマッシュルームとかニンニクとかなんでも

8月31日

例の女性の路上生活者の話を母親にする
ハーゲンダッツを買ってきたら
いやな顔をされた、という話に
だってハーゲンダッツって、甘ったるいわ、と母親
いや、そういう話じゃなくてさ(笑)

アニメのキャラデザイナーでイラストレーターの
高田明美さんのお誘いで
B`Zのライブに行く
普段は100人程度のライブハウスで
陰気なフリージャズを聞いている僕としては
横浜国際競技場
7万人のライブというのは
ほとんど異世界
でも、松本のギターは
デイブ・ギルモアばりのプログレッシブな泣きのギターだし
ジョン・ロード調のハモンドオルガンもある
リズムセクションはものすごくテクニシャン(外人)
ブリティッシュロックを基調とした
凝った音楽性はなかなか堪能できたし
稲葉の巻き舌ボーカルは、イアン・ギランを越えてるな
B`Zって歌詞もいいんだよね
夜の雲を見ながらのライブはなかなか素敵
モニターに写る彼らの演奏が
ワンテンポ遅れて聞こえてくるのもおもしろい
(それだけ距離がある、肉眼では2ミリくらいの大きさ)
しかし
稲葉って、いい男だよなあ
久々に(ピンク・フロイドのライブ以来)
ロック・ファシズムを堪能した夜







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