かものはし日記2001年11月号


11月1日

あっと言う間に11月
アメリカの地球に対するテロ行為(空爆のことね)が
もう1ヶ月も続いています
どんな動物が住んでいるのか詳しくは知らないのだが
アフガニスタンの野生動物たちは大丈夫なんだろうか
こーゆう時
クジラとかイルカのような象徴的な生き物が
アフガニスタンの砂漠の大地を闊歩していたら
アメリカもおいそれと攻撃できなかっただろうに
今の戦争はメディアに左右されるからね
一国に一希少動物!
これだね
究極のアメリカ除けは

朝の散歩のルートを変えてみたら
とても新鮮
些細なことを変えるだけで
ずいぶん楽しい

11月3日

今日は本屋さんで素敵な本を見つけました
「自然のレッスン」北山耕平著
都市生活者が自然に暮らす方法です
いつか人は
宇宙を目指すのではなく
森に帰っていくような気がします
そういうSFが読みたい

11月4日

断食
体が疲れているときは
断食をするといいそうです
何日も食べないという大げさなものではなく
夕食を抜いてみるとか
たまには内蔵を休ませるということですね

テレビ東京の夕方やっている
サイボーグ009
今週は脚本も作画もとても良くて
思わず筆が止まってしまった
(いつもテレビ観ながら絵を描いていたり・・)
原作の雰囲気を崩さずにさらに設定を深めた脚本は
原作をさらに発展させた感じ
僕らの世代にはとてもうれしくてなつかしい石ノ森作品
彼のSF作品はいつもせつない
ここが大事
でも彼の作品を読んで育ったスタッフは感傷には走らない
そこも素敵

最近よくアニメを観ているおれ(笑)
「ヒカルの碁」とか
(ちょっと碁をやってみたくなるような・・)
「フルーツバスケット」とか
(おじさんにはさっぱりわからないけれど(笑))
終わってしまったけど
「ジャングルはいつも晴れのちグウ」
も好きでした

11月5日

友人と電話で
ダイヤモンド・バックスの優勝を喜び合う
よかったね、ランディ・ジョンソン
まあヤンキースはいつもいつも勝っているからいいのだ
(テロと野球は関係ない)
日本でいえばジャイアンツみたいなもの
金で選手を集めて
あ、ダイヤモンド・バックスもそうか
でもすさまじくいい試合だった
友人の話によると
今日ワンポイントで出てきたピッチャーは
詩人で
詩集を2冊出しているらしい
アメリカはいろいろな人がいるよね
詩人のピッチャー
うっとり

水彩紙が足りなくなってきたので
(描き直しがなければぴったりあったのに・・)
渋谷へ
当然、ふらふらとCD屋さんへなだれこむ(笑)
今日の戦利品は2枚
サックスプレイヤーの坂田明さんとその息子さんのデュオアルバム
ビンセント・ギャロの新譜のような
パーソナルな感じ
親子でキャッチボールをしているような
gazelle scenic zone
FFCA-2003(2000円)
もう一枚は
AQUAPIT
frcd-111(TGCS-1171) 2300円
若手のオルガンジャズ
人力テクノ系ジャズかな
オノセイゲンさんがプロデュースしている
強力盤!とてもかっこいい
2枚ともお勧め


そうそう
イスの背もたれが壊れちゃってさ
絵を描いているとき
筆を置くたびに
おもいっきりのびをするので壊れちゃったんだね

11月6日

今日
「たけし、所のWA風がきた」という番組で
十字式健康法が紹介されていました
実は
僕がよく行く気功系接骨医というのはここです
腰痛、肩こり、内蔵の疲れなどなど
テレビに出演されていた村井先生にも治療を受けたことがあります
テレビで治療している姿を見て
かっこよくて、しびれてしまいました。(笑)
人の病気の根本は背骨のゆがみによって起こるというのがコンセプト
それを超能力で治します(笑)
いや、マジで
とても怪しいですが
効力は保証します
十字式というのは
先生達がキリスト教徒だからです、多分
僕はキリスト教徒はなんの関係もありませんが
効果は抜群
体調の悪い人は
だまされたと思って是非
ホームページはこちら
http://www.jujishiki.co.jp/

11月7日

言葉を発するということは
呼吸をするということ
その人が使う言葉が
その人の呼吸になる
怒りに満ちた言葉は
荒くて浅い呼吸になり
優しい言葉は
おだやかで深い呼吸

今日は北山耕平さんの本に習って
断食を敢行
といっても昼食と夕食を抜くだけだけれど
内蔵に休んでもらう日
おなか減ったなあ
ジャズはおなかに響くので
今日はバッハがBGM
う、バッハのパイプオルガンも結構空きっ腹に響く・・

11月8日

プチ・ラマダン終了
断食のせいか
散歩しているとからだが軽い気がします

獅子座流星群
今月の18日あたりに観られるそうですね
流星群は
空の一点から放射状に降り注ぎ
その点を輻射点というそうですが
輻射点が獅子座にあるので
獅子座流星群というらしいです
今まさに描いている絵本、宮沢賢治の「原体剣舞連」の一節に
獅子の星座にちる火の雨の・・
というのがあります
多分獅子座流星群のことでしょうね
なにやら空に応援されているようで
うれしいです
これもシンクロニシティ?
あ、でも放射状に流星をふらせなかったな
まあいいか(笑)

11月9日

最近近所の中古CD屋さんに
ブライアン・イーノがちょくちょく入荷していて
ついつい買ってしまう
というのも、90年代の彼の作品をほとんど追ってこなかったので
反省も込めて、ちゃんと聞こうということね
なんといっても彼は僕の心の師匠のひとりだから
愛しているのさ(笑)
シュトフ・アセンブリ(92年)
スピナー(95年)
彼は言語感覚に優れた音楽家
言葉の音楽家
言葉を音楽にしている
音楽は(絵も)、言葉にならないものを表現するべきだと
よく言われているけれど
名ヴァイオリニストのアイザック・スターンが
教え子達に
ちゃんと自分がどういう演奏をするかを言語化できないとだめだと教えていた
という話をどこかで読んで
ああ、これでいいんだと安心した覚えがあります
僕も最初に言葉が来て
絵を描き終わったあとにさらに言葉が来るのです
言葉で表現できないから音楽がある、絵がある、という考え方は
実は狭い考え方だとおもうのです
ブライアン・イーノは
言葉の力で音楽をより深いものにできるということを
実践している音楽家だとおもってます


宮沢賢治の原体剣舞連に自分なりに深く触れて
思ったことは
自分の体というのは
いちばん身近にある大自然であるということ
身体という森
まず最初に
自分の体と向き合う
そこを基本に絵を描いていきたい
と思った次第です

11月11日

体調が優れず
今日は仕事を休む
やっぱり
中日の今中の引退がショックだったな
肩を壊してからついに復活できなかった
あんな美しいボールを投げるピッチャーだったのに

11月12日

弱ってくると
雑誌やネットの占いを観たりしてしまう
へなちょこなおれ
占いって、たくさん種類があるけれど
基本的には
その人が何を観てしまったかが大事なんだと思う
シンクロニシティ的な考え方をすれば
偶然観てしまった占いは
その人にとって必然であり必要なメッセージだということ
ちゃんとした占い師が書いたものとはとても思えない
誰かが適当に書いたような占いが雑誌の後ろの方にたまに載っているけれど
それですら
観てしまった人が
何か心に引っかかってしまったら
その人にとって必要なメッセージなんだと思う

11月13日

井上敬三のリーダーアルバム
パッショネイト・エイジをゲット
御歳78才のばりばりサックスプレーヤー
むかしドイツのサックスじじいペーターブロッツマンとのデュオを
聞いたことがあるけれど
ふたりでぶりぶり吹いてました(笑)
サックスプレイヤーはじじいのほうがすごい!
なぜでしょう
解剖学者の三木成夫氏によると
人は呼吸をするとき
吸うための筋肉はあるけれど
吐くための専用の筋肉はないらしいのです
これは人が2足歩行を獲得したことによって
すぐに息が上がってしまい
吸うのに専念しなければならなかったそうな
そのために
人は昔からいろいろと創意工夫をして
いろいろな呼吸法を開発したのです
まさしくサックスも息を吐く技術がいる楽器
プレイヤーひとりひとりが
独自の合理的な呼吸法をもっているはずなのです
呼吸法は
健康な体を維持するための基本のひとつ
彼らサックスプレイヤーが
齢を重ねても
元気でばりばり吹きつづけていられるのは
そのためなのかも

11月17日

マンションの電気系統の修理のため
朝から電気が止まる
寒いし
暗いし
仕事ができない
音楽も聴けない
水もポンプで汲み上げているらしくて
蛇口をひねっても出てこない
しかたがないので雲を眺めて暮らす
電気が止まっていると
冷蔵庫の低周波も発生しないので
とても静か
耳だけではなく
体全体でそう感じてしまう
ラマダンじゃないけれど
宗教的に
電気を止める日があってもいいな
とふと思う

電気が復活
毎日ずいぶんなノイズの中で暮らしていたのね

11月18日

19日の深夜の獅子座流星群
がんばって起きていようかな
空を見上げると世界はつながっているんだなって実感できますよね
アフガンでも観られるのでしょうか
もっとも
空爆か流星群かの区別がつけばの話ですが

11月19日

絵本「原体剣舞連」
ようやく終わりが見えてきたなあ、と思いながら
空を見上げる
流星雨というにはほど遠いいけれど
空を引き裂くような
一瞬の流星をいくつか観測
こんなに早くちゃ、願い事なんか言えないよね
あと2週間
失敗などせず(笑)体調を崩さず、無事に終わりますように

11月21日

最近のお昼のお楽しみは
ひなたぼっこ
部屋の奥まで日が射すようになったので
日溜まりの中で
猫のように昼寝

11月22日

肩こりと眼精疲労には
ビール
多少頭がぼーっとしてしまうが
いたしかたあるまい
あんまり集中しすぎても
物事はうまくいかないしね

絶版になって
入手しにくくなった本も
古書検索と捜し物登録で
ちょっと待っていれば
たいてい手に入ります
いい時代になりました

11月23日

昨日担当編集者さんから電話があって
絵本の最終締め切りは12月3日ということになり
残りあと10日
長かったような、あっという間な3ヶ月
ようやく緊張をほぐすことができる安堵感と
もう終わってしまうのかという寂しさ
これでいいのかという不安と
いい感じにできたかもという喜びと
いろいろ
でも
こんな想いができるのも
僕のことを気にかけてくれている皆さんのおかげです
ありがとうございます

11月24日

絵本を描いていると
何度描いてもうまくいかないページというのは
必ずあって
そういうページが最後に残っちゃう

11月25日

案の定失敗して
またやり直し

絵本の制作期間
3ヶ月の間
ぴりぴりと張りつめていたらしく
妻はずいぶん気を使っていたそうな
申し訳ないねえ
絵本の終わりが近づくにしたがってだんだん優しくなってきた
と言われる(笑)
僕は気むずかしい夫らしい
まあ、そうかもね(笑)
でも
仕事と生活の境目がないからなあ
しょうがないね
(開き直り)

11月26日

ようやく全ページ出来上がり
明日から最終チェック

ブライアンイーノも使っているといわれている
環境音楽作成支援ソフトというのがあって
お正月はそれを買って遊ぼうと思っているのさ
それだけが今の心の支えだ(笑)

11月27日

今日の夕食は
新しいレシピに挑戦
ペンネのブラックオリーブソース
変わった味だ

現代音楽家

11月28日

今日の夕食も
新しいレシピに挑戦
カブと豚バラ肉のニンニク焼き
これはバルサミコ酢のソースで食べるのだが
そんなものはないので黒酢で代用
一緒だよ、多分

「アンジェラの灰」を観ながら仕事
さすがアランパーカー
貧乏もスタイリッシュに映像化
貧乏なのに
なぜか登場人物の服装が品がよかったりする
(よごれているんだけど)
原作もよかったけど映画もなかなか

11月29日

「ヴァージン・スーサイズ」を観ながら仕事
コッポラの娘のソフィア・コッポラが監督
親父の映画よりいいかも
5人の美しい姉妹が自殺していく話
オーストラリア映画
「ピクニック・アット・ハンギングロック」
を思い出した
あと
スティーブン・ミルハウザーの短編小説
「夜の姉妹団」
理解に色濃く染まり
説明と洞察と愛情が鬱陶しくみなぎる世界(柴田元幸訳)では
少女は生きていけないということですね

11月30日

こんなにジャズが好きなのに
ちっとも絵がジャズっぽくないというのが
長年の僕の悩みですが
今回の絵本
「原体剣舞連」はちょっとジャズっぽくできたような
20パーセントくらいジャズ
その辺が気に入ってます


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