かものはし日記1月号


1月1日

あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いいたします

0時過ぎ近所の神社で初詣
願い事はしません
神社というのは
願い事を言うのではなく
感謝をする場所なのだそうです

久しぶりの友人と
楽しく宴
後藤の女性関係の話題で盛り上がる
(いないとなにを言われるかわからんね)

1月2日

妻を連れて鎌倉の実家へ
今年の鎌倉はやけに人が少ない
妻との帰省というのはちょっと緊張する
僕の両親と妻の関係性を円滑に運ばせるのに
全神経を集中する(ちょっとうそ)

夜は葉山のレストランで中華
母親が
料理が塩辛いとウエイトレスに文句を言う
どうしてうちの母親って・・

1月3日

朝、テレビ東京で
「サウンドオブミュージック」を観る
小さい頃から何度も観たけれどやっぱりいい
思わず泣いてしまう
歌は人の気持ちを和ませる
これからは喧嘩をするときは
ミュージカルのようにしようと妻と誓う(笑)
名曲「マイ フェバリット シングス」は
ここが発祥の地なのね
コルトレーンの「マイ・・」しか知らなかったので
ずーっと彼が作曲していたのだとばかり思っていました

カワウソに
楽しく遊ぶことを学び
猫に
ぐっすり眠ることを学び
カピバラに
遠い目をしながら瞑想することを学ぶのが
(カピバラって、遠い目をしてじーっとしているんだよね)
今年の目標

日記を書いている途中で
いきなり姿見が倒れて鏡が割れる
鏡とフレームをくっつけている接着剤が剥がれたらしい
新年早々やな感じとか思っていたら
妻が
鏡という自分の虚像を映し続けていたものが割れたということは
自分だと思いこんでいた虚像を捨て去り
本当の自分を見いだせという象徴的意味があるのでは
と言いだし
そういう考え方はなかなか素敵だね、と僕
世界はあらゆる象徴的な問いにあふれているけれど
そこにはあらかじめ正解が用意されていて
パズルのように世界を読み解いていくのではなく
問いに対して
どう答えるかで
それが世界を変えていく力になっていくのかも
パワフルな妻にちょっと感動少し感謝

1月4日

世間は仕事始め
ようやく平常通り
平常通りの方がいいですね
正月に限らずお盆とか長い休みって
何かと不便で逆に疲れてしまうのです

1月5日

とりあえず家庭というものを持ったので
本屋さんで
「家庭の医学」なぞを買ってみる
独身の時は
体調が悪くなって動けなくなっても
動けないまま寝ていればほとんどなんとかなったし
そのまま死んでも、まあ、しょうがない
と思っていたので
そんなものなくても大丈夫だったのだが
(基本的に僕は低レベルで健康なのだ)
これからはそういういい加減なことはできないものね

本屋で
レッドデータアニマルズという
世界希少動物の図鑑(講談社)のチラシを見つける
あ、これ俺持ってる、と思いきや
全8巻の大図鑑
僕の持っていたのは
たったの一冊で全世界の希少動物を紹介している図鑑なのだが
ということは
単純計算でも数年で希少動物が8倍に増えたことになるのか
と思うとすごく寂しい気分になってしまった
あ、ちがった
今調べたら僕の持っている本は
日本絶滅動物図鑑レッドデータアニマルズ(ジック出版)でした
日本のみだね

1月6日

新宿のおしゃれな雑貨屋さんへ行って
結婚祝いのお返しの品を選んでくる
人にプレゼントをするのは難しいですね
基本的には
自分が欲しいものを選ぶようにしてます

なぜか
夕食後、近所で古本屋巡り
実は近所にただ者ではない古本屋があるのだ
日野啓三と池澤夏樹が隣同士にあるとか
店主(活字中毒系美人)の品揃えのこだわりが素敵
ということで
今日はよく歩いた歩いた

1月7日

友人と長電話
妻の話をおれにふっておきながら
妻の話をすると
「のろけ」と言われるのが辛い(笑)
とある後輩は後藤に(加藤には直接言わず)
かも日記に
妻が、妻が、ってかいてあるんすよ-
加藤さん、どうしちゃったんでしょうか?
と漏らしているらしいが
しかし
共同生活をしている以上
日記に妻が登場しないのは不自然だとおもうけれど

しょうがない
愛妻家だもん、おれ(笑)

綾戸智絵さんのCDを聞きながら
絵を描いていたら
色調がソウルフルになってしまった
スマップの名曲「夜空ノムコウ」も
彼女が歌うと違う曲みたい

1月8日

いらない本を処分しようと
本を山ほど抱えて古本屋さんに行ったら
500円にしかならなかった
トマス・ピンチョンとかフィリップ・K・ディックとか
イタロ・カルビーノとかボルヘスとかバラードとか
渋い本ばかりなのに
うーむ
活字中毒系美人が店主の古本屋さんに持っていけば良かったかも

1月9日

久々に新しい料理に挑戦
最近レパートリーを増やしていなかったと反省
今週のオレンジページに載っていた大根と豚のバラ肉の鍋料理
なかなかおいしかった
おすすめ

日頃、攻撃的なジャズロックばかり聞いているので
たまにはカーペンターズ(笑)
完全なる非攻撃的音楽
いつも誰かに気を使って
自分を押し殺してしまう
そんな音楽
自分の居場所を守るために必死で歌うカレンの歌声は
とても20世紀的でした

1月10日

トイレの掃除!

二日前本を売りに行った古本屋へ
僕が売ったピンチョンとかディックとか
バラードの単行本がいかほどの値段で売られているか
興味があったのだが
ちょっと愕然(いや、かなり)
みんな一冊100円で投げ売りしていた
ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」(タイトル合ってる?)が100円!?
サンリオ版ディックの「聖なる進入」も100円?
バラードの「奇跡の大河」も・・
悲しい気分で帰宅

1月11日

樹木は天と地をつなぐ柱
というよりはむしろ
天を支える柱
東京はあまりに木が少なく
天を支える柱がないために
今にも空が落っこちてきそうな
そんな不安感
東京にはビルという人工の柱があるのだけれど
新宿の高層ビル群は
柱と言うよりは
倒れてきそうなブロックにしか見えず
不安感はさらに募る

1月12日

先の見えない時代とは
近頃よく言われる言葉だが
先が見えた時代なんて歴史上つい最近くらいなもので
本来あるべき姿に戻ったと思って
先の見えない状態を謙虚に楽しみたいな、と思う
そうすればなんとなく先が見えてくるような・・
大人が楽しそうにしていないと
子供たちがかわいそう・・
だよね

1月18日

チャンスは覚悟を決めた人にのみやってくる

アインシュタインが言ったそうです
覚悟を決めた人にのみ素敵なシンクロニシティが起こるのでしょうか
2000年の今年
覚悟を決めるには区切りのいい年です

と言うことで
後藤は合気道をはじめるようです
さらに
機械嫌いの後藤がパソコンを導入しました
そのうちメールをはじめるそうですから
(まだキーボートが打てないらしい)
メールを送ってあげてね

昔の落書き帳をぱらぱらとめくっていたら
「人は楽器として生まれ
死んで音楽そのものとなる。」
と書いてあって
俺はなかなかいいことを言うなあ
と一人で感心していました(笑)

1月19日

東京の冬の雨
空を見上げて
雨が雪に変わるのを
いつもいつも願っているのだが
なかなか雪にならないね
数日前はほんの数分、みぞれにはなったけれど。
暖冬の方が
雪になりやすいらしいので
まだまだ期待

妻が体調を崩す
ここ数日の妻の出勤は
朝早くて帰宅は午前様
仕事の忙しさと緊張で
胃を痛めたらしい

今日はお粥を作る
納豆と梅肉を混ぜ合わせて包丁でたたき
しょうゆを入れて味を調え
お粥の上に三つ葉と一緒にそっと添える
皆さんも
体調を悪くされたときは是非
納豆は万能食品ですから

覚悟について
僕も実は今年覚悟を決めました
なにを決めたかは内緒です
覚悟というのは誰にも言わず密かに決めるのが
エレガントですね(笑)

1月20日

今日は2ヶ月前に冷凍庫に保存して置いたちまきを解凍しようと
電子レンジにいれたら
もくもくと煙がでてきて
ちまきはまっくろ
部屋は煙だらけ。
多分ちまきの水分が長い間冷凍庫に保存したために
蒸発してかさかさになったところに
マイクロ波を照射してしまったのが原因とみた

魚屋で
買い物をして
魚屋のおばちゃんにお金を渡したとき
僕の指がおばちゃんの手のひらに触れて
その手の皮があまりに硬いので
ちょっとびっくりしてしまった
「かつん」と音がするくらいに硬かった
長い間の水仕事でそうなったのだろうか
おばちゃんの笑顔と同じくらい
素敵な硬さだ
絵描きはほんとに楽
硬くなるところはペンだこ一カ所だけだもの(笑)

1月21日

今日は後藤の誕生日です
これを機会に発表したいことがあります
そろそろ
後藤と加藤は別々にも活動していこうと思っております
もちろん、今まで通り一緒にやる作品もありますが
別々にやることで
作品の幅を広げていきたいと思っている次第です
(合作にもいい影響が起こると思います)
ネット上でもいろいろな企画を考えています
ポストカードを作るとか
原画を売るとか(もちろん描き下ろしです。)
いろいろ
何かご意見があればメールを下さい
今後ともよろしくお願いいたします

なんかね
スタートラインに戻ったような気がして
ちょっとわくわくしているのです

1月22日

妻の友人が上京して来るというので
夕食の用意をする
自分が作った料理で
他人をもてなした経験がほとんどないので
ちょっと緊張しました
(僕の料理を食ったことがある人は妻と後藤と友人数人)
原稿を持って編集の人に渡すときと同じくらいの緊張感がありました(笑)
でも
それなりに
好評だったようなので
ほっとしました

1月23日

寺山修司の猫についての詩集を眺める
というのも
今、猫の絵を描いているのだ
猫とはなぞを解かない名探偵
猫とは髭を生やした女の子・・とか
なかなかいいな
別の章には
「涙は世界で一番小さな海」というのもあった

1月24日

路上で後藤と編集のYさんが
ふたりで手を握り合って踊っていた(笑)
というのは冗談で
最近合気道の道場に通いはじめている後藤が
打ち合わせが終わった後
合気道経験12年のYさんに
道場でわからなかったところを
(基本的な動作)
教わっていたのであった
本当の合気道の動作はとても美しくて早いのだが
ならいはじめの後藤の動きはまだまだぎこちなくて
見ていてまどろっこしい
こんなんだったら
いきなり殴った方が手っ取り早いじゃないか
と、心密かに思うのであった

1月25日

細かい雪がちらちらと降る寒い朝
ようやく冬らしくなってきたけれど
まだまだ
依然おいらは素足にサンダル
お昼は冷た-いざるそば2人前
(ばか)

1月26日

後藤と加藤のピンでの活動についての沢山のメールありがとうございます
皆さん好意的で安心しました
というわけで
今日は古くからつきあいのある編集の人にお会いして
ピン活動の営業をしてまいりました
でも
まだ別々の作品があまりないので
もう少し量を増やさないとね

SF大会で
解散記念の部屋を企画しようとか
夏の展覧会もあるし
今年は変化のとんだ年になるでしょう
打ち合わせ後
後藤は合気道の道場へ
加藤は夕食の買い物へ
(あ、今日は妻は遅いのだった(笑))

1月27日

午前中は
加藤のピン仕事の企画持ち込み
猫の絵本です
いくつか指摘されたところを手直しして
また再挑戦
うまくいくように祈っててね

午後は
通常通りの後藤加藤仕事の打ち合わせ
後藤は今週は合気道の朝稽古が連日あるらしくて
睡眠不足と
受け身失敗による腰痛で
オーラが薄い
大丈夫かいな
打ち合わせの帰りに
癒し系のエロ絵本の企画というのはどーかなー
と話し合う

今日は寒かったです
ジャケットと長袖のTシャツ1枚で出かけたのは失敗でした
年相応の格好をしないとね

1月28日

誕生日おめでとうメールありがとうございます
また無駄に歳をとってしまったかも(笑)
昨日一日早く妻に誕生日プレゼントを貰ったのだけれど
今日友人に
日記に、「妻が、妻が・・」
と書いてあると冷やかされたので
書きたくなかったのだが
妻が日記に書けというので
仕方がないので書きました
小さいときからそうだが
俺は基本的に
女が怖い

1月29日

妻の友人の與倉豪(よくらごう)さんの展覧会に出かける
(また妻か(笑))
原宿にある素敵な和風喫茶が会場
靴を脱いで
小さい畳の部屋でゆっくり絵を鑑賞できる
ここで展覧会もいいなあ、と思ってしまった
猫の細密画と
猫のパステル画と
猫のテンペラ画
みんな猫
特にイラストレータにはなじみのない
テンペラ画がとても新鮮で素敵だった
制作に一ヶ月かけた
丸ペンを削って描いた超細密の迫力もすごい
パステル画は
描いた本人にそっくりでとても優しい感じ

カッテージチーズと明太子を使った
どんぶりご飯を作らせられる
(マガジンハウスの「こどんぶり」という本)
まさかこんなげてもの作らされるとは思わなかった
結婚っていうのは冒険だねえ
でも、食ってみたらちょっとうまかった
ちょっとね
(妻ネタばっかり)

1月30日

あらかじめページの最後の方に
解答が示されている参考書のように
答えの存在するものは
すべて胡散臭い
・・ような気がする。
真理は「答え」に存在するのではなく
「問い」に存在するのだ
素敵な「問い」を求む
「問い」の中にこそ「詩」があるんだよね

1月31日

どうも昨日の古本屋で
風邪菌を貰ったらしい
のどが痛い
古い本と本の間に挟まった
古風な風邪菌だ
古風な風邪菌は
錠剤など飲んで治さずに
ショウガ湯などを飲んで
古風に治す

明日
後藤加藤の単独ページを立ち上げます
と言っても
落書き程度の小品ですけれど
観て下さいね


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