彼女は水のような人
あまり目立たないのだけれど
なにか根元的な生命感を放つ人だ。

何でも受け入れて
優しく包み込む。

でも時には
洪水のように怒り、荒れ狂い、泣き叫ぶ。
他者の悲しみがまるでじぶんのことのように

彼女と会うたびに
印象が違うので驚く。
気体のように溌剌としていたり・・
液体のように柔軟だったり・・・
個体のように頑固だったり・・・・

水の分子の酸素と水素の結合角度104.5度

104.5度で首を傾げてほほえむ姿がとっても素敵だ。
上目遣いでぼくを見て
悪戯っぽくほほえむ。

彼女はぼくに彼女の秘密を話してくれた。
ネットワークに流れる水のイメージってどんなだと思う?
電子の水
情報としての水
何のことを話しているのだろう。
ぼくには何のことだかさっぱり分からない。

彼女は「水」というウイルス・プログラムを作ったらしいのだ。
そして
ネットワークのなかにそっと流してみたらしい。
「水」はネットのなかでどんな振る舞いをするのかしら
楽しみだわ
彼女はまた104.5度の角度で首を傾けほほえんだ。


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